#8. 自動文章生成装置「ざつぶんくんDX」

 全国数百人の雑文サイト運営者待望の新製品がついに登場!当社比1.5倍のサル数を実現!

 近年、インターネットが社会において果たしている役割は非常に大きいものとなっていますが、個人ホームページを作ろうとすると必ず突き当たるのが「文章がうまく書けない」「書きたいことはあるのにどうやって書いたらいいかわからない」「書きたいことがない」という問題です。壁紙、画像などは素材集を使って取り繕うことができますが、文章だけは自分で書かなければなりません。「ワードプロセッサー」ってどうして「ワード」を「プロセス」してくれないんだろう、と疑問に思ったことのない人はいないでしょう。

 大西科学ではそうしたご要望にお応えすべく、このたび全自動文章生成装置「ざつぶんくんDX」を開発いたしました。当社従来製品であります「ざつぶんくん一号」と比較して、プロセッサスピードで二倍、サル数で一・五倍の性能を実現、価格もより一層お求めやすくなっております。この機会にぜひお求め下さい。

 「ざつぶんくん」シリーズの文章生成は「チンパンジーがシェークスピアをタイプする」原理に基づいております。「ざつぶんくん」は、まず入力された文章の長さにしたがって、ランダムな文字列を生成いたします。続いて意味解析プログラムがそのうち無意味な文章を除外し、適切な文章を生成するのです。古今東西のあらゆる文字列をサポートしていますから、長短硬軟、事実上「ざつぶんくん」で生成できない文章はありません。

 この「チンパンジーがシェークスピアをタイプする」原理は古くから知られていましたが、利用可能なCPUの演算速度の不足から、実用化は難しいとされていました。大西科学では、最新鋭の量子演算技術を導入してこの問題をクリア。文章構成プロセスの高速化を実現しております。まず「ざつぶんくんDX」では、内蔵の量子ランダマイザ「サル486DX」が一クロックあたり十の十六乗個のランダムな文章を波束の重ね合わせとして生成、量子プロセッサ「MMXぶんごうくん」に送ります。「MMXぶんごうくん」はこのランダムな文章に対して量子演算を行い、意味のある文章だけを集束した波束として出力します。これによって、宇宙の素粒子の数と同じだけのサルを使って宇宙開闢以来タイピングを続けてもといわれた演算時間を大幅短縮。俳句程度ならわずか二十年ですべてのパターンを網羅することが可能になりました。

 せっかく生成した文章も、その品位が低くてはどうしようもありません。「ざつぶんくんDX」は、文章パターンセレクタの採用により、文章品位および文体の自動制御を可能としました。あらかじめ登録された「エッセイ」「説明調」「伝説」「幼児」「旧仮名遣い」「駄洒落」「カレー好き」などの代表的な文体を完全再現。また、好みの文章を例文として百題程度与えることによって、新たなパターンを構築する機能もオプションでご用意いたしました。また、文章内容を部分的に固定することによって、「しばり」のある雑文も生成可能です。年末に向けて、嬉しい機能と言えるでしょう。

仕様
名称ざつぶんくんDX(WP-02ざつぶんくん二号)
類別自動文章生成装置
量子ランダマイザサル486DX
量子演算プロセッサMMXぶんごうくん
演算速度10^21文章/秒
連続稼働時間十五分(量子演算)
インターフェースシリアル
希望小売価格オープン価格

※1998年12月現在。仕様は予告なく変更する場合があります。

使用上のご注意

※あなたがこの方法で生成した文章の著作権はすべて大西科学に帰属します。個人としてお楽しみになる以外の使用、出版、上映、演奏には許可が必要です。
※構造上、長編小説の生成には不向きです。掌篇以下の雑文にご使用ください。


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