#10. 寒い寒い寒い夜

 「その晩は近来まれに見る寒さだった。」でも我が町はいつもポカポカ。地域気候調整システム「寒い寒い寒い夜」で、来るべき氷河期を乗りきりましょう。

 全地球的な気候調整システムは、長い間の人類の夢でした。突然襲い来る台風を制御し、農作物に大打撃を与える冷夏や日照不足を回避する、そうした気候調整が経済に及ぼす影響ははかりしれないといえます。しかし、気候のコントロールは、気象の持つ巨大なエネルギーと、内包するカオス的現象による予測不可能性により大変困難なものとされてきました。

 「寒い寒い寒い夜」気候調整システムは、この難点を、大西科学が誇る高度な宇宙開発技術の蓄積により克服。さらに独自の軌道通信/コントロール装置の開発により、地方自治体規模からの天候コントロールを可能としました。標準的な、人口1万人程度の地方自治体から導入できるコストの低さと、効果範囲の大きさ、その効果の大きさにおいて、他の追随を許さないものとなっております。ぜひあなたの町の気候調節に、大西科学の「寒い寒い寒い夜」システムをご検討ください。

 「寒い寒い寒い夜」システムは、低軌道中継プラットホーム「たかまがはら一号」に搭載された極薄膜軌道反射鏡、および軌道発電衛星「あまつかぜ」一号および二号の低輝度マイクロ波送電システムによって構成されています。冬の太陽を最大限に利用するため、「寒い寒い寒い夜」気候調整システムはまず、「たかまがはら一号」に搭載された反射鏡を用い、展開した鏡面によってあなたの町の日光照射量を増加させます。照射面積一平方キロメートルにつき、段階的に反射鏡は0.3平方キロから一〇平方キロまで展開可能です。冬の頼りない太陽も、数を利用することで真夏の気候も実現可能なのです。

 また、夜間や、雲の多い天気などで反射鏡システムによって十分な温度が得られない場合は、「あまつかぜ一号」「同二号」によるサポートを行います。地上からの指令を受けた「あまつかぜ」は、その内部に搭載したマイクロブラックホール発電機(マツザワ・イワヤ型ホーキング炉)を用いて得た電力のうち、0.1パーセントにあたる1.2ギガワットの出力を、低輝度マイクロ波送信器を用いてマイクロ波の形で地上に照射します。半径一キロに拡散して照射されたマイクロ波は、地上/大気の水分の温度を、1平方メートルあたり約0.4キロワットの出力で上昇させます。これはおおよそ冬季の午後三時あたりの日光照射量に匹敵するパワーです。マイクロ波は大気中の水分を透過(※1)しますから、雪や曇りの日でも関係ありません。これで寒い冬の夜もポカポカ。街ぐるみ常春の陽気です。

 「寒い寒い寒い夜」システムは、オプションとして、近接した海面を集中照射することによる海面の沸騰/大気中の水蒸気量の増加を利用した降雨/降雪システムとしてもご使用になれます。冬季だけでなく、慢性的な水不足に悩まされる地方では特に有効な機能と言えるでしょう。また、夏の台風シーズンには、局所的な照射による高気圧/低気圧の発生により、その進路をコントロール可能。大きな被害をもたらす台風の接近を未然に防止することも可能です。さらに幹線道路への照射による除雪などの、単用途に絞った機能提供も行っております(マイクロ波照射部のみ)。さらにコストを抑えて最大限の経済効果を得るソリューションとしてご活用ください。

 「寒い寒い寒い夜」システムは、専用の汎用機一台と、軌道通信システム、および専用コンソールからなります。コンソールには話題の音声起動システムを備えた「ウィンボウズ98」オペレーションシステムを採用。面倒な操作なしに、だれでも簡単に気候を調整可能です。オプションの精密照射キットを用いれば、半数必中半径(投射エネルギーの半分が目標に到達する半径)5メートルの高精度精密射撃が可能です(※2)。

仕様
名称「寒い寒い寒い夜」気候調整システム(WC-01ほむら1号)
類別気候調整システム
形式高高度プラットホーム/軌道発電衛星利用対地エネルギー照射システム/対地精密観測・射撃統制システム(※3)
使用衛星「あまつかぜ1号、2号」
「たかまがはら1号」
「さきもり3号〜18号」(※3)
以下、平成十一年度打ち上げ(※4)
「あまつかぜ3号」
「さきもり19号、20号、21号」(※3)
電源(コンソール部)AC 100V, 50/60MHz, 80W
最大照射エネルギー2.4GW(マイクロ波)
連続照射時間3000秒(マイクロ波)
反応時間最大15時間
希望小売価格応談
オプション価格
高精度照準システム
「乾坤一擲II」
偵察衛星を用いた高度な照準システム。半数必中半径は五メートル以下。1,150,000円
電界強度計
「ナミダス1号」
マイクロ波の照射をキャッチ。危険を未然に防止できます。68,000円
熱線/マイクロ波防護服
「イスカンダルXIV」
S, M, L, LL各サイズあり380,000円〜
音声起動・コントロールシステム
「ききみみ二号」
補助音声認識システム174,000円

※1998年12月現在。価格、仕様は予告なく変更する場合があります。

※1 一部は大気中の水分蒸発に使用されます。
※2 危険ですから、照射範囲を一〇〇平方メートル以下に絞らないで下さい。また、人体に対する使用は、軌道発電衛星の軍事利用を禁じたバグダッド条約に違反します。絶対におやめください。
※3 オプションにより利用可能。
※4 予定。計画の遅延等により予告なく変更する場合があります。

使用上のご注意

※「寒い寒い寒い夜」気候調整システムを用いて起こった地球の温暖化、およびその他の弊害については、免責事項とさせていただきます。ユーザーは良心を持って過度の使用はお控え下さい。
※「あまつかぜ」によるマイクロ波は、植物の光合成に利用されません。したがって、植物の成育のための日照時間増加目的には、「あまつかぜ」による補助システムはご利用になれませんので、ご注意下さい。
※音声起動システムには、冬季によく口にされる適当な単語を登録してご使用下さい。
例:「とにかく寒くてたまらなかった。」


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