アイブック

 iMacの、ほとんど歴史的と言っていい偉大な成功によって、経営状態を大きく改善させたアップルコンピュータが、99年末に投入した「ノートパソコン型iMac」。PCカードスロット、SCSIポートを排するなど、インターフェースを徹底的に割り切った設計、大きくて重量のある本体と、本体サイズに比してやや小さめの液晶スクリーン、今一つ割安感に欠ける価格設定などは、必ずしも万人に歓迎を持って迎えられたわけではないが、ノートブックとしては珍しい、白をおよび青またはオレンジ基調としたデザインや、内蔵可能な画期的に低価格の無線ネットワークシステムの装備(別売り)などで、まずまずのヒット商品の一つとなった。

 発売当初、その唯一にして最悪の欠陥はとにかく販売台数が異様に少ないということであった。九九年十月中旬の発売開始から十二月ごろまで、その販売状況はまったく壊滅的であり、(おそらくは)折悪しく発生した台湾における地震と、アップルの宿業ともいえる生産能力の不足により、発売日一ヶ月前に予約したにもかかわらず発売後一ヶ月モノが届かないなどという末期的な状況を呈していた。また、別売りの無線インターネットシステムが発売次年、二千年の二月末までずれ込んだという事情もこのノートパソコンにとっての不幸の一つであった。


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