●<新製品>大西科学から子育てネットゲームが登場
ハイテク製造業大手の大西科学は、傘下の大西科学エンターテイメント(OKE)を通じ、『ネットエンジェル《パパママベビー》』サービスを開始すると発表した。《パパママベビー》は子育てをモチーフとするネットワークゲームで、同社の家庭用ゲーム機「ミカグラ二五六」をはじめ、インターネット接続可能な家庭用ゲーム機、パソコン、携帯電話から利用可能。プレイヤーの遺伝子をもとに、サーバ上で産まれリアルタイムで生活している「エンジェル」を六歳の誕生日まで成長させるゲームとなる。プレイには「エンジェル」一人につき最低二人の参加が必要だが、性別は問わない。OKE社の広報担当者は「子育ての楽しさからちょっと辛い部分まで含めた、リアルなシミュレーションを提供する。ネットゲームの枠を越えて、少子化という社会問題に一石を投じることができれば」と語る。サービスは三月初旬から試験提供され、有料の本サービスは六月スタートを予定している。同社は試験サービスに五千人の参加を見込んでいる。
●「可愛すぎる」ネットゲーム《パパママベビー》
昨年十一月に都内初のホーキング炉《はなたば一号》の本格稼動、また今年四月には軌道旅客往還機《みねこし六号》の就役を控え、話題にはことかかない大西科学だが、一度は敗退したゲーム業界にもふたたび力を入れはじめているのは周知の事実で、このたび試験提供が開始されたネットゲーム『ネットエンジェル《パパママベビー》』もおそらくその一環だ(提供は大西科学エンタテイメント社)。本誌記者もこのテストプレイに参加、「エンジェル」を育ててみたので気になる内容を紹介しよう。
プレスリリース(別記事参照)にあるように、このゲームに参加するには最低二名のプレイヤーが必要だが、ソフトウェアは1ライセンス分購入すればいい。パッケージにはミカグラ二五六用ソフトウェアバーのほか、ウィンボウズ用DVD-ROMが納められ、ミカ2を持っていなくてもパソコンさえあればアクセス可能になっている(マックには未対応)。「インターネット携帯電話対応」をうたっており、実際にインターネット対応の携帯電話であれば基本的な「プレイ」は可能なのだが、初期設定その他にはミカ2かパソコンが必要だ。逆に言えば、初期設定と大きなイベントだけミカ2かパソコンを使い、他は携帯電話だけでプレイするというのも、不可能ではない(もちろんマックも可)。
(画像:初期設定画面)(キャプション:ミカグラ二五六での初期設定画面。初期設定のほか、大きなイベントはミカ2でのプレイが推奨されている)
『パパママベビー』は、子育てをモチーフとしたゲームだ。いや、コンピュータとネットワークを使った子育てそのものと言ってもいいかもしれない。初期設定で二人のプレイヤーのプロフィールを登録すると、二人の「遺伝子」が混ぜ合わされ、二人の子供(「エンジェル」と呼ばれている)が誕生する。「遺伝子」を使っているので、エンジェルは二人の顔にどことなく似て、なんだか他人とは思えない。ゲームの目的は、このエンジェルをとにかく六歳の誕生日まで無事育てること。昔流行した『たまごっち』や『ポストペット』に代表される育成型ゲームの一種だが、このエンジェルの実在感、反応の素晴らしさが『パパママベビー』の大きな特徴だ。このエンジェル反応処理にはOKE社に置かれた大型量子計算機《明石三号》がまるまる処理にあてられていること(同社広報)からも、その高度さは想像がつく。
(画像:明石三号)(キャプション:これが《明石三号》だ。量子演算素子のネットワークが、葉で茂った大木のような特異なシルエットを作り出している)
ではその「子育て」の具体的な内容はというと、これが本物の子育てそっくりなのだ。ミルクや母乳を与えたり、おむつを替えたり、おもちゃを与えてあやしたりする。着替えや入浴も、プレイヤーがやってあげないとどうしようもない。本当の子育てにまつわる、さまざまなやっかいな作業が、ほぼ完璧にコンピュータ上に再現されているのだ。「エンジェル」の成長速度は本物の赤ちゃんのほぼ三倍、夜泣きや病気の頻度も少なく設定されているとのことだが、やってみるととにかくキツい。なにしろ「新生児」のころは昼夜問わず二時間に一度「授乳」する必要があるのだ。プレイヤーが最低二人必要である理由が、ここにある。
(画像:プレイ画面)(キャプション:これは携帯電話の画面。夜泣き中だ。これといった原因もなく、泣き止まないことも…)
そんなゲーム楽しいのか、と当然思うところだが、本当の子育てに存在する、楽しいこともまた、とんでもないリアルさで再現されている。親ばかと言われようと、論より証拠、この笑顔、見てください。
(画像:プレイ画面)(キャプション:この笑顔を見ると面倒な気持ちもふっとんでしまう。ワタシ、すでにヤラレてます?)
OKEでは、テスト期間終了、有料化後も、参加料を「月刊雑誌程度」に押さえたいという。いつものようにサポート料は別とのことだが、その日が来たらこの子と別れられるのか、筆者(とパートナー、三二歳独身男性)は頭を抱える毎日である。
●第二回『パパママの会』大阪府で開催
三月の東京に続き、大阪でも『ネットエンジェル《パパママベビー》』公式プレイヤーの会が開かれた。会場には熱心なおよそ五百人のプレイヤー、OKE広報や報道関係者のほか「名誉パパママ」で料理評論家の三本松ジョセフィーヌ氏、作家の江碕ぐり子氏、現役Jリーガーの木村正義氏などが講演を行い、交流を深めた。会場からも携帯電話を通じて二ヶ月になるエンジェルの世話を行っていた参加者の男性は「エンジェルを育てるのは試行錯誤の連続。でもそこが面白い」と語り、パートナーの女性とともにさかんに情報交換を行っていた。
●FAQ
Q8.Macintoshには対応していないのですか?
A8.現在のところ、対応しておりません。しかしながら、Macintoshへの対応はより多くのエンジェルファンの皆様にご満足いただくために必要であると認識しており、対応すべく検討中です。
●経済ニュース:「ミカグラ二五六」累計出荷台数一五〇万台を突破・「パパママベビー」効果か
「プレイステーション2」「ゲームキューブ」などの先行機種に普及率で大きく水をあけられていた大西科学エンタテイメント社の家庭用ゲーム機「ミカグラ二五六」の累積出荷台数が一五〇万台を突破したと、二日、同社が発表した。「ミカグラ二五六」は大西科学製プロセッサ「ぶんごうくん」画像アクセラレータ「がはくくん」を搭載した野心的な設計で注目を集めたが、ゲームソフトの不足などで販売台数は伸び悩んでいた。第二四半期の販売台数は三〇万台に登り、同社が三月に発表した大人気のネットゲーム「パパママベビー」の効果が出たと見られる。
●プレスリリース
《パパママベビー》登録者一万人を突破、本サービス開始へ
大西科学エンターテイメント(以下OKE)では独自のすぐれた技術を用いたゲームを皆様に提供してまいりましたが、このたび、試験提供を行っておりました「ミカグラ二五六」を中心としたインターネット利用のネットゲーム『ネットエンジェル《パパママベビー》』の、本サービス開始時期が決定いたしましたのでお知らせいたします。
『ネットエンジェル《パパママベビー》』につきましては、三月の試験サービス開始以来、多くの方々の利用をいただき、このたび仮登録者一万人、アクティブユーザー五千人を突破、当初の予想を大きく上回る愛用をいただきました。
そこで、OKEでは当初六月を予定しておりました《パパママベビー》の本サービス開始を五月初旬に繰り上げ開始することを決定いたしました。本サービスにおきましては、新サーバ《明石四号》の導入による育児環境の更なる向上、同時参加人数の増加等、システムのさらなる強化が盛り込まれており、サポートのいっそうの強化も行います。
また《パパママベビー》は本サービス開始と同時に有料化を予定しておりましたが、本サービス開始時期の前倒しに伴って、本サービス登録者の二ヶ月無料キャンペーンを実施いたしますので、実質的な参加料は本サービス開始と同時に契約いただいた場合で七月分からの負担となります。OKEでは、今後もたゆまぬ努力につとめ、さらなるサービスの向上に邁進してまいりますので《パパママベビー》ともども今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。