[《皇国の守護者》用語集]
 佐藤大輔初のファンタジー《皇国の守護者》の用語集です。ファンタジーという分野の作品は、我々の世界とは異質な架空の世界を読者に提示するものとなります。特に活字メディアで表現される作品では、非常に多岐にわたって使用される造語が世界の異質さを表現するうえで大きな役割を持つと言えるでしょう。造語について解説することがこのページの目的なのですが、こういった異言語の意味が作品を通して徐々に読者に見えてくるというところにも作品の面白さがあるため、発表まもないこの作品について用語集を製作すると、未読の方の、世界を楽しむという面白さが半減するおそれがあると考えられます。今回、この《皇国の守護者》用語集を作成するに当たって、これまでの「用語集」とは別枠にして公開することにしました。《皇国の守護者》を通読ののち、ご覧くださればと思います。

 重ねて警告いたします。《皇国の守護者》シリーズを未読の方は、以下を読まれることをお勧めいたしません。


青旗        (あお-はた)【軍事用語】青く塗られた旗。降伏の合図として通用している。「青」に染めた旗が必要になるということは、一般的な白布による代用が効かないということで、したがって戦に臨んではあらかじめ降伏の準備として青い布を携帯する必要が生じる。青布を準備することについて何らかの禁忌感(パイロットがあえて落下傘を準備しないような)はないのだろうか。
赤胡椒 (あか-こしょう)【文化】スパイスの一種。吸い込むと、くしゃみがでる。
悪黴 (あくばい)【文化】傷口から侵入する細菌などによる感染症、またはそれを防ぐための消毒か。
アスローン諸王国 (アスローン-しょ-おうこく)【組織】アスローン大半島と呼ばれる、ツァルラント大陸南西部の半島部を支配する連合王国。〈帝国〉と境界を接しており、同様の状況にある南冥民族国家群とともに、〈帝国〉と休戦を挟みつつ断続的に交戦を行っている。独自の文化を持ち、貿易などで〈皇国〉とも関係が深い。諸王国を構成する王国から最大勢力の国王が大王として他王国を従える政治形態をとっている。
アスローン獅子 【生物】アスローン原産の猫科の大型の獣。マタタビに弱い。
アスローン・モルト 【文化】アスローン原産の酒。おそらくウィスキーの一種。
白粉        (あぶら-ごな)【文化】おしろい。〈皇国〉では女性の化粧に使われる。独特の芳香がある。
油布        (あぶら-ぬの)【文化】何らかの油性塗料によって処理を施された織布。防水、防風効果がある。
亜龍        (あ-りゅう)【生物】天龍以外の龍族(翼龍、水龍)を指していう言葉。知能が低く、天龍にとっての犬馬のような存在とされる。
アレクサンドロス
作戦
【作戦】〈皇国〉北領を占領した〈帝国〉東方辺境鎮定軍が行った〈皇国〉内地進攻の第一段階として、その上陸作戦につけられた名称。龍下、龍口湾への敵前上陸作戦。作戦名は〈帝国〉初代皇帝の名にちなむ。
位階授与者 (いかい-じゅよ-しゃ)【役職】〈皇国〉における身分階級の一つ。皇室より与えられる位階を授与された者を指して言う。一種の貴族階級。
石拳 (いしけん)【文化】〈皇国〉でポピュラーな手遊び。三すくみの関係にある石、紙、鋏を手を用いて形象し、同時に示すことで勝敗を決める。
稲尾町 (いなお-ちょう)【地名】皇都、西四条の地名。程度の低い歓楽街で、売春宿、妾宅等が立ち並ぶ。
ヴァランティ
辺境艦隊
(Valanty Frontier Fleet)【組織】〈帝国〉艦隊のうち、東方辺境軍の指揮下にある艦隊。東方辺境艦隊。一〇〇隻を越える軍艦を擁する。「ヴァランティ」は初代提督の名前を記念した呼称。
ヴィーランツァ地峡 【地名】ツァルラント大陸中央部の地峡。帝国首都(帝都)が置かれる。
畝浜 (うなはま)【兵器】〈皇国〉水軍が誇る最新鋭熱水巡洋艦。外輪式の熱水推進機構による汽走と、2本のマストによる帆走を行う。地図を見ると西領に同名の都市があり、当然これから艦名が取られたものであろう。
裏帆 (うら-ほ)【軍事用語】(1)帆の裏側。(2)帆走中の帆船が受ける風の向きが急に変化し、帆を張り直すまで航走が阻害されること。〜を打つ
運荷艇 (うんか-てい)【兵器】輸送船。おそらく人力。吃水が浅く、浅海面での行動が可能なため、海岸と沖合の外洋船との間の輸送に用いられる。外洋航海能力は低い。
鋭剣 (えいけん, Sabre)【兵器】軍刀。多くは両刃の直刀。騎兵では片刃。この時代、抜刀突撃(銃剣突撃も含む)は小銃の射撃速度の低さと射程の短さから、いまだに有力な戦闘行動となっており、士官の装飾的な所持品としてのほか、特に騎兵などで広く兵器として保持されている。
鋭兵 (えい-へい)【兵種】〈皇国〉での銃兵の分類の一つ。新兵器である旋条銃を装備し、長射程(通常一〇〇間程度)を生かした攻撃を行う。正規軍においては予算の不足から、一部の精鋭をのぞいて旋条銃を装備しておらず、鋭兵はまだ特殊な存在となっている。
液石 (えき-せき)【技術】主として照明用として用いられる液体燃料。字面からは石油が想像されるが、おそらく混ざり物の多い原油に近い状態で使用されていると思われる。
夷野平野 (えみしの-へいや)【地名】東洲中央から西南部にかけて広がる平野部。東洲乱以前は大人口を養っていた。
円弾 (えん-だん)【兵器】大砲の砲弾のうち、内部構造を持たない単純なもの。その運動量と焼夷効果で目標に損害を与える。→霰弾
桜契社 (おうきっしゃ)【施設】皇国陸軍将校の親睦団体。将校の棒給から運用資金を得て活動している。活動内容は、陸軍将校への会合、研究等のための施設貸し出し、遺族への義捐金供出など。その内部では、会員が階級の上下に拘泥せずに済むよう独特の規律が存在する。
大鱗峰 (おおうろこ-みね)【地名】龍塞山脈の地名の一つ。天龍の故郷であるこの山脈の中でも聖地に似た重要な意味を持つ地名らしい。
大倉山系 (おおくら-さんけい)【地名】東洲西北部の山脈。鏡鉄鉱、材木の山地として有名。
大瀬 (おおせ)【兵器】〈皇国〉水軍乙型巡洋艦。二本マストの旧式帆走艦で、横帆と縦帆を持つ。排水量八八〇石。一二斤艦砲を両舷、艦首、艦尾合わせて二八門装備と、旧式艦としては火力が充実しているのが特徴。皇紀五六八年二月一九日、真室砲撃任務を帯びて御崎岬沖航海中、悪天候のため遭難。
大馬場町 (おお-ばば-ちょう)【地名】皇都の地名。長瀬門前の南側に位置する。
奥津港 (おくつ-こう)【地名】北領北端の港湾。北領紛争において、〈帝国〉軍が奇襲上陸、以後〈帝国〉軍の策源地となった。
小苗橋 (おなえ-ばし)【地名】苗川にかかる橋で、街道と交差する渡河地点。〈皇国〉軍撤退援護戦闘の最終防衛拠点となった。→苗川
織座筋 (おりざ-すじ?)【地名】皇都の街路名。
御崎岬 (おんざき-みさき)【地名】北領路南半島南端からのびた岬の一つ。美名津湾と真室湾を隔てた半島の先。
回船        (かいせん)【文化】商船、貨物輸送船を指して言う言葉。
凱帝国 (がい-ていこく)【組織】南冥民族国家群に皇紀二〇〇年ごろ存在した帝国。
開念寺 (かいねん-じ)【施設】〈皇国〉北領、路南半島中部に位置する寺。幸連宗。
金茶碗 (かな-ぢゃわん)【文化】金属製のコップの呼称。
上苗 (かみなえ)【地名】南向川と苗川の分岐地点近く、側道との交差点付近を表す地名で、苗川の渡河地点の一つ。橋が架けられていた。
嘉門ノ変 (かもん-の-へん)【事件】中世〈皇国〉で起きた政変。覇権を争っていた耶麻城(やましろ)家と長瀬(ながせ)家の政争の末に起きた内乱で、耶麻城家が、長瀬家を滅ぼしたもの。皇紀二〇三年。この事件をきっかけとして、長瀬家の支配するところであった水軍は〈皇国〉の政治中枢における権力の座から追われ、水軍が政治勢力としてやや低く扱われる風潮は、これ以降、物語における現在もほぼ変化なく続いている。
カルパート僭帝乱 (かるぱーと-せんてい-らん)【事件】〈帝国〉西方諸侯領で起きた内乱。皇紀五四〇年ごろ?
(かん)【単位】〈皇国〉における重量の単位。おそらく1キログラム程度と思われる。ちなみに日本では一貫は3.75kg。
寒生山地 (かんぶ-さんち)【地名】北領南部、東側に位置する山地。寒生川、南向川の源流となっている。
騎銃 (き-じゅう, Carbin)【兵器】主として騎兵の火力使用を目的として開発された小銃。取り回しの容易さ、軽快さの確保から通常の小銃よりも銃身が短く、射程距離も短い。この時代のものは大部分前装滑腔銃で、射程は三十間前後。
基数 (きすう)【単位】軍隊において、一回の会戦で使用されると想定される弾薬の量。2基数分の補給とは、その部隊にとって2回の会戦が行えるだけの弾薬ということになる。不変の数字ではなく、技術の進歩とともに戦闘が(銃剣突撃、騎兵突撃などではなく)火力中心となるにつれて増加する傾向にある。北領会戦で明らかになった新たな基数は、粗い見積もりで一門あたり千発程度。
北背山地 (きたのせ-さんち)【地名】北領北端に位置する山脈。豪雪地帯として有名。
北美名津浜 (きた-みなつ-はま)【地名】北領、路南半島に位置する海港美名津の北東六里にある海岸。天狼会戦で敗北した皇国軍がこの浜から撤退を行った。
騎兵銃 (きへい-じゅう)【兵器】→騎銃
騎兵砲 (きへい-ほう)【兵器】通常、騎兵との共同行動を目的とした平射砲。通常の平射砲にくらべ、やや軽量。馬によって牽引輸送を行い、軽快に移動しつつ騎兵の火力支援を行う。→平射砲
胸甲騎兵 (きょうこう-きへい)【兵種】〈帝国〉軍中最精鋭を謳われる騎兵連隊。胸甲(ボディアーマー)の装備を特徴とする重騎兵で、騎兵銃、片刃の鋭剣で武装。→東方辺境胸甲騎兵連隊
きょうだい 【文化】両性具有者における、同じ親から生まれた子を指す言葉。性別のない両性具有者には、兄弟姉妹が言葉として当てはまらないため、ひらがなに開いた「きょうだい」が用いられるのではないか。同様に「姉」「妹」と書き「あに」「おとうと」とルビを振る形で、同胞の呼称が行われている。
鏡鉄鉱 (きょう-てっこう)【技術】鉱物資源のひとつ。精練することで導術士の額の銀盤になるのだと思うのだが、不明。いずれにせよ、非常に貴重な鉱物であり、高価で取り引きされる。
曲射砲 (きょくしゃ-ほう, Mortor)【兵器】〈皇国〉陸軍における野砲分類の一つ。短口径の軽量の砲で、大仰角をとり、大きな放物線弾道を描く。構造が単純で軽量であることから、銃兵部隊等につけられて近距離からの支援を行う。この時代の射程は約五〇〇間程度。
(きん)【単位】重量の単位。詳細不明。日本での単位(一貫=6.25斤=1000匁)から、おそらく1/10貫(〜100g?)ではないかと思われるが。
(きん)【単位】〈皇国〉における貨幣単位?詳細不明。
金座筋 (きんざ-すじ)【地名】皇都の地名。皇都西側の幹線道路。周囲に商業地域が広がっている。
禁士 (きんし)【兵種】〈皇国〉における皇主護衛兵の伝統的な名称を受け継いだ、五将家出身の近衛兵。→近衛禁士隊
禁兵 (きんぺい)【兵種】皇主直属の衛兵、近衛兵のこと。現在では多少意味が異なっている。
駒洲 (くしゅう)【地名】駒走(こましり)ノ国の呼称。→駒走
駒洲楓 (くしゅう-かえで)【生物】駒走(こましり)ノ国の産になる植物。秋に美しく紅葉する。
軍監本部 (ぐんかん-ほんぶ)【組織】→陸軍軍監本部
軍隊手帳 (ぐんたい-てちょう)【兵器】一般に兵が所持している手帳。軍隊において認識票の役割を果たすべく〈大協約〉にも定められている。
軽臼砲 (けい-きゅうほう)【兵器】大口径超低初速の砲。燭燐弾などを打ち上げるために用いられる。砲身は竹などでできており、砲弾打ち上げ能力は低い。
(けん)【単位】〈皇国〉における長さの単位。日本における長さの単位、間(六尺、1.8メートル)とは異なり、10尺、1メートル程度の長さを表すようである。人間の体にこの長さに相当する部分(両手を広げた長さ、歩幅、腕の長さなど)がないため、必ずしも扱いやすいものではないことに注意。→尺、寸、点、里
剣牙虎 (けん-き-こ, Sabre Tiger)【生物】学名マダラオオキバネコ。食肉目猛猫科最大の猛獣。剣歯虎とも呼ばれる。主に〈皇国〉虎城地域に生息するほか、亜種は東海洋の島嶼にも分布する。成獣は体長二間を越え、群れをなす場合もある。知能は比較的高い(以上、一巻53ページ解説より)。縞状の体毛(冬期は白黒、夏期は黄黒)を持ち、長くのびた牙を持つこの大型の虎は、群生する性質からか、比較的容易に人間にならすことができ、主人への結びつきも非常に強い。その高い知性は軍隊行動に容易に適応し、遠方からの敵探知能力(おそらく追跡能力も)、猛獣としての素早い身のこなし、強大な膂力と相まって理想的な軍用獣としての性質を構成している。酒も好きだ。→剣虎兵、猫
剣虎兵 (けんこ-へい)【兵種】軍隊行動に慣れさせた剣牙虎と、剣牙虎の主人として行動する銃兵を組み合わせた部隊。訓練された剣牙虎は、人虎共同の抜刀突撃、不期遭遇戦、また特に夜襲において非常に有力な戦力となり、その戦力は通常の銃兵20人に相当すると言われる。〈皇国〉独特の兵種で、〈皇国〉においても新しい兵種である。
皇海 (こうかい)【地名】〈皇国〉北方に広がる海の名。〈皇国〉はこの皇海を挟んで、〈帝国〉と向かい合っている。
皇海艦隊 (こうかい-かんたい, Imperial Seas Fleet)【組織】〈皇国〉水軍が編成している艦隊の一つ。
皇紀 (こうき)【文化】〈皇国〉で使われている暦。〈皇国〉建国からの積算年数を示し、物語開始時期で五六八年を数える。
〈皇国〉陸軍特志
幼年学校
(こうこく-りくぐん-とくし-ようねん-がっこう)【組織】→陸軍特志幼年学校
〈皇国〉遍学院 (こうこく-へんがく-いん, Imperial museum)【組織】〈皇国〉における文化、歴史、地理および科学の研究、保存、展示施設。皇都盾町に存在する。皇紀五四〇年ごろ、郷原教三郎の個人的なコレクションを元に国立の博物館として開かれた。
皇護寺 (こうご-じ)【施設】皇都に位置する寺院。
皇債 (こう-さい)【経済】〈皇国〉における国債。財政赤字を補うために発行される。
皇室魔導院 (こうしつ-まどう-いん)【組織】諸将時代の皇室が、「滅魔亡導」によって滅びかけた導術士を保護し、あらたな導術士を養成するために過去の部省制の機関(導部)の流れをくむ形で発足させた機関。その実態は導術士の養成を目的とする名前を変えた魔導師範校であったが、やがてその任務は皇室の諜報活動を担うように拡大され、非導術士の構成員を多数迎えた諜報機関としての活動を主体とするようになった。→滅魔亡導、魔導師範校
皇主 (こうしゅ)【役職】〈皇国〉の名目上の最高権力者。
皇洲天象社 (こうしゅう-てんしょう-しゃ)【組織】〈皇国〉において、皇室密理院と並ぶ天象、密理研究所。富豪、吹屋天八が設立した私立研究所で、現在は千名を越える研究者を擁する半官半民の研究機関として、〈皇国〉における科学研究の一翼を担っている。社頭は、天八の義理の娘、吹屋帰生(きお)で、多くの女性研究者が在籍することも特徴としている。
後檣 (こう-しょう)【軍事用語】帆走艦で、艦後方にある檣柱。
腔綫 (こうせん, rifling)【技術】銃身の内側につけられた螺旋状の線条。弾丸を発射方向と同軸に回転させ、弾道を安定、射程を延伸する効果がある。→旋条銃
光帯 (こうたい)【天文】〈大協約〉世界が存在する惑星を取り巻く輪。恒陽(太陽)の光を反射するため、〈大協約〉世界は晴れてさえいれば夜でも月光下程度の明るさがある。恒陽との角度にもよるが、昼間でも視認できる。北半球では南方にかかった白いアーチのように見えるはずである。
〜を腰に巻いて生まれる【文化】慣用句で、幸運な生まれを持つ、幸運の星のもとに生まれる、といった意味。
皇都 (こうと)【地名】〈皇国〉首都である都市の名前。〈皇国〉の経済発展、その放任主義的な直轄領統治法によって、〈大協約〉世界有数の人口を誇る大都市となっている。
公民 (こう-みん)【文化】〈帝国〉の階級のひとつ。一種の中産階級で、移動、職業選択の自由を持つ。
恒陽 (こうよう)【天文】星系主星。太陽のこと。これが星の一種であるという認識は既にある。
恒陽暦 (こうよう-れき)【文化】現行の暦法。恒陽(太陽)を中心とした暦を扱うもので、一恒陽年(恒陽が、星座上の同じ位置に戻ってくるまでの期間、あるいは春分点からつぎの春分点までの惑星の運行時間)を一年と定め、日で割り切れない部分の調整を、一年の日数を増減することで行うもの。まだ同時に、未統一だった刻時法も合理的なものに定められた。〈皇国〉では皇紀四五〇年ごろ正式に制定。
皇龍道 (こうりゅう-どう)【地名】〈皇国〉内地の街道のひとつ。龍州、龍前から、虎城山地の北側、龍虎湾沿いを回り込み、不破を経て皇域(皇都)に至る。龍州から皇都へと攻め上る軍勢にとって、事実上唯一の侵攻径路となっている。
紅涙石 (こうるい-せき)【文化】宝石の一つ。血を思わせる赤色の宝石で、身に付けた女性の血をすする、という伝説がある。
幸連宗 (こうれん-しゅう)【文化】〈皇国〉で崇拝されている宗教の一つ。
五銖銅貨 (ご-しゅ-どうか)【文化】〈皇国〉で流通している貨幣の一種。数百円から千円ほどの価値だろうか。→銖
(こく)【単位】容積/重量の単位。日本の一石は180リットルであるが、〈皇国〉でのそれは、距離の単位(間)と同様、メートル法に準拠したものと思われる。おそらくトンに相当。主に船舶の積載量/排水量の単位として使われる。
(こく)【単位】時間の単位。日本における一刻(二時間)とは異なり、一日を二六分割した、約一時間程度の見当の長さを示している。古くは昼間、夜間をそれぞれ十三分割して季節によってそれぞれの長さが変わるという形態をとっていたが、現在では1恒陽日(恒陽(太陽)の南中からつぎの南中まで)を二六分割したものに固定されている。午前第六刻、午後第一刻という言い方をするが「正午」の言葉としての起源(一日に十二支を当てはめたときの南中時刻を含む、午の刻)が存在するわけではなく、このあたりの経緯は不明である。十三進法というのは非常に扱いにくい計時法で、たとえば起点を夜明けに取るか、正午にとるかによって半刻のずれが生じるなど、はなはだ不便な面が生じる。この計時法があえて使われている背景には(1)一年が十三ヶ月であることとかかわりがある。たとえば、十三が神聖な数である。(2)よく知られた時計法(たとえば一刻で一周する天体など、だれでも簡単に一刻を測定できる現象)があって、一刻としてこの長さを使うことが非常に便利であった。(3)一日が二十四時間のような、より便利な計時体系をもつ他惑星から持ち込まれた単位である。といった理由が想像できる。→半刻、小半刻、尺、寸、点
刻時器 (こくじ-き)【技術】時計。携帯のものも一般的に存在する。一日を二十六時間とする計時法に沿って円周を十三分割した目盛りが振ってあり、この文字盤は軍隊(特に水軍)で方位を示す場合に使われる。時針の他に分針のような補助針も存在しているとおもわれるが、「刻」が二六進法、「尺」以下が十進法と、互いに倍数になっていないので、その文字盤はやや複雑な(最低限2つ以上の「ときじ」が必要となるなど)ものと思われる。なお、針はやはり「時計回り」をするようである。文字盤の例
石数 (こく-すう)【軍事用語・文化】船舶の排水量(積載量)を表す用語。「石数では上回る」のように使う。
黒石 (こくせき)【技術】熱水機関の燃料として用いられる固体燃料。石炭のこと。
黒茶 (こくちゃ)【文化】〈皇国〉で好んで飲まれる飲料。この飲料がコーヒー(またはそれに類したもの)であるかどうかについては難しいところがある。黒色の飲料など、漠然とした範囲内の飲み物全体を指す言葉なのかもしれない。
虎州杉 (こしゅう-すぎ)【生物】主として虎城産の樹木。上質の建材として用いられる。
虎城 (こじょう)【地名】〈皇国〉内地中東部の一地方。龍洲と駒洲に挟まれた山岳地帯(虎城山地)を指す。剣牙虎の産地としても知られる。
五将家 (ごしょう-け,ご-しょうけ)【組織】〈皇国〉において政治的実権を握っている五つの家系。かつて無数の地方大名によって割拠されていた東海列州を統一、名目上の支配者としての皇主を復活させ、現在の〈皇国〉を作った。現在なお貴族として〈皇国〉を分割して統治するなど、政治的、軍事的に無視できない力を持っているが、封建的支配体制の上に成り立っている権力であるゆえに、近年の経済活動の発展、貨幣経済への移行により徐々にその力を失いつつある。安東(あんどう)、西原(さいばら)、駒城(くしろ)、守原(もりはら)、宮野木(みやのぎ)家。
近衛総監部 (このえ-そうかん-ぶ)【組織】〈皇国〉近衛総軍を統括する軍政機構。帝都皇宮内に置かれる。
近衛総軍 (このえ-そう-ぐん, Imperial Guards)【組織】〈皇国〉で、皇主直率の戦力として組織された直轄軍。五将家の支配下にあった陸軍において、皇主独自の陸軍戦力を設立することで、総兵力を維持しつつ五将家の経済的負担を減少させる目的で設立された。その兵力は五将家出身者(禁士隊)および衆民出身者(衆兵隊)にわかれ、現体制における歴史が浅い(皇紀五四九年設立)こともあり、その戦力は陸軍にくらべ低いとされている。組織上陸軍とは独立しているが、実際の運用に当たっては陸軍と合同し、戦闘にあたる。
近衛嚮導聯隊 (このえ-きょうどう-れんたい, Guards Leader)【組織】武功を挙げ、近衛への志願者増加の大因となった新城直衛少佐麾下に置くために、近衛総軍において編成された聯隊規模部隊。三兵編成を取る、独立編成の組織。
近衛禁士隊 (このえ-きんし-たい)【組織】〈皇国〉において、皇主直轄の護衛兵である近衛のうち、五将家、および五将家領地出身者によって構成される部隊。総兵力3千名程度で、騎兵(近衛禁士騎兵第一、第二聯隊、実質戦力は大隊程度)を中心とした編成。
近衛衆兵隊 (このえ-しゅうへい-たい, Civil Guards)【組織】〈皇国〉において、天領の衆民からの志願兵によって構成される皇主直轄の護衛兵部隊。総兵力6千名程度で、銃兵(近衛衆兵第五旅団)と砲兵(近衛衆兵龍火第一旅団、いずれも実質戦力は連隊程度)からなる。士官には五将家出身者も多い。
小半刻 (こ-はん-こく)【単位】〈皇国〉における時間の補助単位。一刻の四分の一。約十五分?→刻
駒走 (こましり, 駒洲)【地名】〈皇国〉内地中東部の一地方。良馬の産地として有名。駒城家の本拠地。
財産分与法     (ざいさん-ぶんよ-ほう)【文化】五将家による皇国の制覇、皇主を中心とした政治体制のなかで、近代的な経済機構の自発的発生をみた天領において、個人主義から来る封建的な長子相続法への不満と、個人への富の集中の危険性を踏まえて制定された法律。財産相続において相続者一人ではなく、家族へ一定の比率で分割して相続することを定めたもの。大地主、大商人の消滅と富の社会全体への再分配をもたらし、合資会社の発生を促した。皇紀五三六年。
槊杖
※木偏に朔
(さくじょう、かるか)【兵器】前装銃(銃口から弾丸と火薬を装填する銃)で、火薬を突き固めるために使用する、先端が太く先が平らになっている棒。当然ながら銃身以上の長さが必要となるため、小銃では普段邪魔にならないよう銃身と平行に槊杖を収める鞘がつけられるのが通例となっている。
猿楽街 (さるがく-がい)【地名】皇都の地名で、商店、問屋などが軒を連ねる繁華街。名称の由来は、かつて猿楽師が住む地域であったことから。
霰弾 (さん-だん)【兵器】大砲の弾丸の一種。あられ玉。砲弾に多数の小弾を収め、敵の頭上で炸裂するようにしたもの。また、近距離での直接射撃用に大量の小弾(小銃弾が利用されると思われる)を大砲に詰め、発射するもの。いずれも対人用として用いられる。
三兵 (さん-ぺい)【軍事用語】(1)陸軍における三兵科、銃兵(歩兵)、騎兵、砲兵を指す言葉。(2)諸兵科聯合の概念を表す言葉。三兵戦術。
支檣索 (し-しょう-さく, shroud)【軍事用語】檣柱を船体に固定し、安定させるための支え綱。横静索。檣柱から両船側に張り渡される。支檣索同士の間には横に支索が張られ、檣柱に上るための縄ばしごとしても用いられる。
時振儀 (じしん-ぎ)【技術】航海用の測定装置の一つ。精度の良い時計だろうか。
輜重 (しちょう)【軍事用語】軍隊の戦闘力を維持するための、弾薬、食料、燃料などの物資のこと。またその輸送のこと。→兵站、補給
輜重兵 (しちょう-へい)【兵種】『輜重』輸送を任務とする兵隊。〈皇国〉陸軍では、歴史的経緯から現地徴用をほとんど行わず、したがって特にこの輜重兵が重視された編成となっている。
執政府 (しっせい-ふ)【組織】〈皇国〉における行政機関。もと特権階級(五将家出身者?)の官僚によって運営される、実質的な五将家による〈皇国〉の統治機構であったが、皇紀五五四年に出された万民輔弼宣旨書をもって、試験選抜された衆民出身者をひろく採用する国家権力の一部となった。
(しゃく)【単位】(1)〈皇国〉における長さの単位。間の十分の一(日本のものと単位間の比率が異なることに注意)。約十センチ(?)。→間(2)〈皇国〉における時間の単位。十分の一刻。約三分の二分?→刻
(しゅ)【単位】〈皇国〉における貨幣単位(の一つ)。→五銖銅貨
宗教純化運動 (しゅうきょう-じゅんか-うんどう)【事件】皇紀364年ごろからおよそ三十年間にわたって〈帝国〉で続いた民衆運動。腐敗した国教に対する不満から生じた宗教運動が転じて、「背天の技」を使用する導術士の虐殺となった。この事件のため〈帝国〉内の導術と能力者はほぼ完全に消滅した。
衆兵 (しゅう-へい)【兵種】(1)衆民(非貴族)出身の兵。(2)〈皇国〉近衛兵のうち、天領出身の衆民によって構成される近衛衆兵隊の兵士。→近衛衆兵隊
銃兵 (じゅう-へい)【兵種】(1)一般的に小銃で武装した兵隊一般を指す言葉。(2)〈皇国〉での銃兵の分類の一つ。通常の滑腔銃を装備し、最も数が多いことから軍の主力となる。
市邑保護条項 (しゆう-ほご-じょうこう)〈大協約〉の約定の一つ。戦時において、二千名以上の人口を有する非武装都市(敵対する軍勢を中に置かない都市)への攻撃、略奪などを禁じた条項。
衆民 (しゅうみん)【文化】〈皇国〉において平民を表す言葉。
衆民院 (しゅうみん-いん)【組織】〈皇国〉立法府の一つ。衆民の投票による選出議員からなる議会。皇撰による組織であった衆民会を母体とする。
主后 (しゅこう)〈皇国〉における、皇主の妻。
術力 (じゅつりょく)【文化】導術を用いるときに必要とされる能力。持久力としての側面と、技術力としての側面があり(RPG風にいうなら「MP」と「かしこさ」)その両方の意味に使用する。
準男爵 (じゅん-だんしゃく)【文化】〈皇国〉における貴族位のひとつ。貴族の中ではほぼ最低に近い地位のようだ。〈帝国〉にも同じ地位がある。
翔艦 (しょうかん)【軍事用語】翼龍など飛行生物が軍艦から発進する行為を表す用語。
掌砲長 (しょう-ほうちょう)【軍事用語】水軍において、艦内の砲術科最先任曹長に与えられる職名。同様の用語に掌帆長がある。
喞筒 (しょくとう?)【技術】液体を効率良く汲み出す器械。ポンプ。
燭燐弾 (しょくりん-だん)【兵器】明るく光を放って燃える燐を光源に用いた、照明、信号を目的とした爆弾、または砲弾。照明を目的とする場合、布傘を用いて空中にある時間を長くする場合がある。基本的に青白い光を発するが、ある種の物質を加えることで色に変化を与え、あらかじめ定めた情報を伝達する信号弾として用いることができる。
上帆 (じょう-はん)【軍事用語】帆走艦船で、一つの檣柱に取り付けられた横帆のうち、上側に位置するもの。
檣柱 (しょうちゅう)【軍事用語】帆走艦船で、帆が張り渡される柱。マスト。近年の軍艦では、大木を数本接ぎ合わせたものが使われている。
檣楼 (しょうろう, yard)【軍事用語】帆走艦船の檣柱(マスト)に設けられた足場。帆桁。檣柱上での作業の足場、見張り台として使用される。
檣楼員 (しょうろう-いん)【軍事用語】水軍において、帆走艦の檣楼に勤務する水兵。
臣民 (しん-みん)【文化】〈帝国〉の階級のひとつ。おそらく被支配地域の民衆の階級と思われる。農奴階級であり、移動の自由など、さまざまな権利が制限されている。
水軍 (すいぐん)【組織】(1)〈皇国〉における海軍のこと。事実上五将家が支配している陸軍と比較し、人事権を皇室が(兵部省水軍局人事部の輔弼のもとで)支配しているのが特徴で、高級士官に衆民、特に回船問屋出身者が多く見られる。この時代の〈皇国〉主力艦は帆装艦四〇隻程度で、実験的に熱水機関を採用した巡洋艦が存在。水軍ではこの艦隊を皇海艦隊と東海洋艦隊の二つの組織に分割して運用していた。(2)〈帝国〉においても海軍としてこの言葉が使用されている。
水軍統帥部 (すいぐん-とうすい-ぶ)【組織】〈皇国〉における海軍最高司令機関。名目上皇主に直属し、実戦指揮を行う。人事制度の違いから、陸軍軍監本部と比較して衆民出身者が多いのが特徴。
水晶碗 (すいしょう-わん)【文化】クリスタルガラス製のコップ。カットグラス。
水龍 (すい-りゅう)【生物】水棲の龍。知能が低い亜龍の一種。
(すん)【単位】(1)〈皇国〉における長さの単位。間の百分の一(日本のものと単位間の比率が異なることに注意)。約一センチ。→間(2)〈皇国〉における時間の単位。百分の一刻。約4秒?→刻
西方諸侯領 (せいほう-しょこう-りょう)【地名】〈帝国〉西部を指す地方名。多数の貴族によって分割統治されており、帝室の権力はそれら貴族を通じて臣民に及ぶ。南冥民族国家群、アスローン諸王国と国境を接し、断続的に交戦が行われている。
青檀 (せいだん)【文化】青黒色の木材。装飾用に用いられる。
西方への拡大 (ドランク・ナッハ・ヴェステン)【事件】〈帝国〉の西方への領土拡大期を表す歴史用語。〈帝国〉建国から、皇紀前一九〇年ごろまで。その形態は遊牧民族の侵略戦争による版図拡大で、この拡大により現在の西方諸侯領がほぼ〈帝国〉領として確定した。
前檣 (ぜん-しょう)【軍事用語】帆船で、最も高い檣柱(大檣)よりも前方にある檣柱。フォアマスト。
旋条銃 (せんじょうじゅう, rifle)【技術】銃身の内側に腔綫がつけられた小銃。発射時に弾丸を回転させるため、弾道が安定し、射程が滑腔銃にくらべて長い特徴がある。〈皇国〉では皇紀五二〇年、日生天童により発明。その工作のむずかしさから、熱水機関の発明まで大量生産は行われなかった。この時代でもなお高級品で、装備部隊は限られる。
戦闘導術士 (せんとう-じょうじゅつし, Combat Magician)【兵種】捜索中隊に配属される特殊な訓練を受けた導術兵。導術による捜索を任務とする。
戦闘竜兵団 (せんとう-りゅう-へいだん, Dragoon)【組織】〈帝国〉において試験的に編成、運用が開始されている龍兵を中心とした戦闘単位の名称。
尖兵 (せん-ぺい)【兵種】〈皇国〉における銃兵の分類のひとつ。銃身を切り詰めた騎兵銃とよばれる銃を装備する。軽装を生かし、突撃、強襲上陸/渡河などの先鋒任務を負う。
捜索剣虎兵 (そうさく-けんこ-へい)【組織】〈皇国〉陸軍の部隊編成の一。剣虎兵を中心とした編成で、偵察、威力偵察任務に供することをもともとの設立目的としている。剣虎兵自体の歴史の新しさから編成には実験的意味合いも持たせられ、剣牙虎と兵の組み合わせから成る剣虎兵に、尖兵(銃兵)、騎兵砲、導術兵、短銃工兵などを加えた三兵編成となっている。→鉄虎兵
捜索導術兵 (そうさく-どうじゅつ-へい)【兵種】導術兵のうち、特に索敵を任務とするもの。導術による索敵は部隊間連絡よりも高度な任務とされる。
大外套       (だい-がいとう)【文化】寒冷地で着用される被服の一種で、最も外側に着用する断熱性、遮風性に優れた上衣。オーバーコート。
〈大協約〉 (だいきょうやく、グラン・コード)この世界にある人類と龍が、その属する国に関わらず等しく従うことを定められた律法。その基本理念は「種の保存」にあり、有史以前(一説によれば、二千年前)に人間と龍のあいだで取り交わされ、軍隊による都市への攻撃の禁止や、捕虜の取り扱いのような戦時協定から、日常における取り決め、人龍の関係にいたる幅広い内容となっている。宗教の影響が薄い〈皇国〉においては一種の道徳の一部として認識されているほど、人々の日常生活に習慣として溶け込むほどの歴史をもつ古い約定でありながら、罰則付きの法律として現在も機能しており、現状に合わせて改訂も続けられている。→〈大協約〉世界
〈大協約〉世界 (だいきょうやく-せかい)【地名】物語世界の既知領域の総称。〈大協約〉を遵守する人類/龍からなる領域。→〈大協約〉
大檣 (だい-しょう)【軍事用語】帆走艦で、最も長大な檣柱。メインマスト。
帯念宗 (たいねん-しゅう)【文化】〈皇国〉において最大の信徒数を持つ宗教。支持基盤として、一定の政治勢力を形作っている。
大坊山 (たいぼう-さん?)【地名】北領、路南半島中東部の山岳。一巻五〇ページ下段「大望山」は誤りと思われる。
打石器 (だせき-き)【兵器】燧石銃の機構の一つで、燧石(ひうちいし)をばねの力で撃ち、発火薬に点火する機構。
龍口湾 (たつくち-わん)【地名】〈皇国〉内地龍下の、北領方面に向かって開く湾の名前。〈帝国〉東方辺境鎮定軍が、内地進攻に当たって上陸拠点とした。
龍口湾内夜襲 (たつくち-わん-ない-やしゅう)【事件】〈皇国〉水軍第二尖撃戦隊第五駆逐隊の四隻の快速駆逐艦〈真風〉〈沖浪〉〈帯雲〉〈降雲〉による、龍口湾に停泊した〈帝国〉回船および水軍軍艦への奇襲攻撃。皇紀五六八年一二月八日。
玉薬 (たまぐすり)【兵器】火薬。銃砲の発射に用いられるもののほか、火薬一般を指していう。
玉森町 (たまもり-ちょう)【地名】皇都の一町名。日用品から高級品まで、さまざまな商店が立ち並ぶ繁華街。
長尾 (ちょうび)〜の進歩【文化】進歩の程度が大きいこと「長足の進歩」の龍族的表現。
諜報総局 (ちょうほう-そう-きょく, knives and coats)【組織】〈帝国〉の諜報組織。スパイ活動のほか、外国の国勢分析など総合的な情報収集を行い、国家戦略についての判断、助言を行うこともあるようだ。
勅任特務魔導官 (ちょくにん-とくむ-まどう-かん, 魔導官, his imperial majesty's magician)〈皇国〉における官職のひとつで、皇室に直属する導術士のこと。多くは導術を使用しない純粋な諜報員であり、導術士と協力して諜報などの任務に当たる。
鎮台 (ちんだい)【組織】〈皇国〉の平時における陸軍組織を構成する単位。もともと内乱鎮圧を目的とした編成で、各地方に置かれ、1万数千人の師団程度の兵力を有する。有事には他地方からの増援を編合、司令部の増強を行ったうえで軍としての再編成がはかられることになっていたが、その経験は十分なものではなかった。
ツァルラント大陸 【地名】〈大協約〉世界最大の大陸で、北半球の大部を占める。西部の地峡部を通じて南冥大陸と地続きになっている。中央部の地峡(ヴィーランツァ地峡)で大きく二つに分けられ〈帝国〉がその主要部分を領土として保持。
辻陰陽 (つじ-おんみょう)【文化】占い師。特に公道で占いを行う辻占のこと。
帝紀 (ていき)【文化】帝国における紀年法で、〈帝国〉の建国から起算する。皇紀との関係は、帝紀=皇紀+415。
〈帝国〉 (ていこく)【組織】〈皇国〉北方、ツァルラント大陸に存在する、〈大協約〉世界最大の国家。その国土は大きく西方諸侯領、本土、東方辺境領にわかれ、帝室とよばれる皇帝の家系(ロッシナ家)による封建的支配が行われている。皇紀前四一五年にケリウス・マクシノマス王(ゴーラント一世)によって建国された〈マクシノマス家ならび諸卿の合意による聯合帝国〉を母体とし、幾度かの膨脹期と、数知れない内乱を経て、ツァルラント大陸のほぼ全土を支配下に置く現在の〈帝国〉となった。
〈帝国〉公用語 (ていこく-こうよう-ご)【文化】東西諸侯乱によって〈聯合帝国〉に代わる〈帝国〉建国を宣言、〈帝国〉の支配権を得たアレクサンドロス一世によって定められた〈帝国〉全土の共通語。広大な〈帝国〉版図で使用されている数種の主要言語から作られた人工言語で、全国民に使用が義務づけられた。〈帝国〉の文化的統一を目的としたもので、過去の言語の特徴を多く残した覚えやすいものであったため〈帝国〉全土に定着した。→東西諸侯乱
帝室艦隊 (ていしつ-かんたい, ツァルフロト)【組織】〈帝国〉主力艦隊。おそらく〈帝国〉本土にあると思われる。
擲射砲 (てきしゃ-ほう, Howitzer)【兵器】〈皇国〉陸軍における野砲分類の一。大口径の砲で、最も大きな射程距離と破壊力を持ち、戦線後方からの砲撃を行う。機構が複雑で砲自体の重量も大きい。
鉄路 (てつろ)【技術】鉄製の軌道を敷設し、上を交通機関が低い抵抗で移動できるようにしたもの。鉄道。
鉄虎兵 (てっこ-へい, Heavy Sable Tigers)【組織】〈皇国〉陸軍の部隊編成の一。剣虎兵を中心とした編成で、通常の捜索剣虎兵と異なり、尖兵(銃兵)、騎兵砲兵、工兵などが配備されない純粋な剣虎兵部隊となっている。→捜索剣虎兵
鉄筆 (てっぴつ)【文化】筆記用具の一つ。万年筆のようなものであろうか。
(てん)【単位】(1)〈皇国〉における長さの単位。千分の一間。約1ミリメートル?→間(2)〈皇国〉における時間の単位。千分の一刻。約0.4秒?→刻
天主 (てんしゅ)【文化】神のような存在を指す言葉らしい。〈皇国〉における宗教についてはほとんど記述されていないが、一般的にある程度通用する、人口に膾炙した用語であるようだ。対義語として魔王がある。
天象院 (てんしょう-いん)【組織】〈皇国〉において、天候予測を行う国家機関。
天象士 (てんしょう-し)【兵種】天象科の士官を指す用語。軍隊行動、とくに水軍のそれにおいて重要な、天候予測を行う。導術は使用しないらしい。
天測儀 (てんそく-ぎ)【技術】航海用の測定器具の一つ。恒陽、星、光帯などの正確な位置の観測を行うことで、船の位置を測定するために用いられる。
天龍 (てん-りゅう,High Dragon)【生物】学名オオトビナガリュウ。飛龍目蛇龍科の高等知性体。〈皇国〉龍塞山系に生息。成獣の体長は三〇間以上(以上一巻83ページ解説より一部引用)。龍洲、龍上に生息するこの天龍は、〈皇国〉特有の種である。二〇〇年程度の長い寿命をもち、人類同様か、やや高い程の知能と導術を備えるに至る。日本の「龍」に似た鱗を持つ蛇のような長い体に翼はなく、その飛行原理は明らかになっていない。なんらかの社会組織をもち〈大協約〉参加種の一つとして「大聖議」に参加する。人間と同じような名前をつける習慣がある。導術を用いて発声同様に人間とコミュニケーションをとる。時として、人間と契約をむすび、軍事行動など人間の活動に深くかかわることもある。→〈大協約〉、導術、大聖議、龍塞山脈
天領 (てんりょう)〈皇国〉において皇主の直接支配地域とされる領域。〈皇国〉では放任主義的な統治方法をこの天領に対して行っており、これが近年の〈皇国〉の経済的発展の要因の一つとなっている。
天狼会戦 (てんろう-かいせん)【事件】北領に侵攻した〈帝国〉東方辺境鎮定軍と、〈皇国〉北領鎮台が天狼原野において会合、行った決戦。皇紀五六八年一月二八日。
天狼原野 (てんろう-げんや)【地名】北領の中央部を占める広大な平野部。この原野南端に北領の主邑、北府が存在する。気候は厳しく、北領北岸への街道が通るのみで、入植は進んでいない。
天狼山地 (てんろう-さんち)【地名】北領南部、西側に位置する山脈。
(と)【単位】〈皇国〉の体積の単位。日本では約18リットルであるが、〈皇国〉での量は不明。
東沿道 (とうえん-どう)【地名】龍州から駒走に至る街道の一つで、虎城山地南側の東州灘沿いを通って駒走に至る。整備度は低く、絶壁を縫う難所もいくつか残されている。
東海洋 (とうかい-よう)【地名】東海列洲南方に広がる海。南方には、二つの大陸と、点在する島々が存在し、〈皇国〉の交易圏の一つとなっている。
東海洋艦隊 (とうかいよう-かんたい, Eastern Ocean Fleet)【組織】〈皇国〉水軍のもつ二つの艦隊のうち、東海洋を担当するもの。皇海艦隊に比べ、五将家の発言力が強いという特色がある。北領紛争において北領鎮台の撤退を援護した。
東海列洲 (とうかい-れっしゅう)【地名】〈皇国〉を構成する六つの島からなる列島を表す言葉。
東西諸侯乱 (とうざい-しょこう-らん)【事件】〈帝国〉において、「東方への猛撃」により新たに〈帝国〉領となった東方辺境領と、既存の西方諸侯領との対立から起こった内乱。皇紀一一八年から皇紀一四三年。この乱により、ハルトラント家支配の〈聯合帝国〉は、ロッシニウス(のちのロッシナ)家支配の〈帝国〉にとってかわられた。
銅座筋 (どうざ-すじ)【地名】皇都の地名。同地の有数の繁華街。猿楽街などが存在する。
東洲 (とうしゅう)【地名】〈皇国〉東北部の島。良質の鏡鉄鉱、木材の産地で、商工業においても〈皇国〉における先進地域であったが、皇紀五四四年、東洲公目加田英直による内乱(東洲乱)が発生、戦場となった。
東洲灘 (とうしゅう-なだ)【地名】東洲と内地の間の海峡部。
導術 (どうじゅつ)【文化】この〈大協約〉世界の人類がもつ超自然的な能力。訓練によって向上する先天的な能力で、能力を持つものは「不自然なほどの円周」をしめす地形の周囲に多くあらわれる傾向がある。その能力は遠方の探知、術者同士の通信といったESP(感覚外知覚)に限られ、PK(念動)、未来予知はまったく見られない。使用者は一般に額に銀盤をはめ込んでおり、疲弊するとその銀盤の輝きが失われる。術力の回復には数週間以上の休養が必要とされる。また限度を超えた導術の使用は、術者の死に直結する。また、同様の能力は龍族も持ち、会話等に日常的に使用している。→導術士
導術士 (どうじゅつ-し, Magic Officer)【兵種】超自然的な能力である〈導術〉を使用する軍人「導術科員」のうち、士官を指す用語。その能力を、遠方からの敵の探知、部隊間の通信などに用いられる。導術の使用により容易に気力体力を消耗するため、直接の戦闘には普通参加しない。歴史的経緯から軍隊での運用は近年ようやく開始されたばかりであり、また〈皇国〉以外の国家、特に宗教弾圧によってほとんどこの技術が失われた〈帝国〉では組織的な利用はほとんど行われていない。→導術兵、導術
導術波 (どうじゅつ-は)【軍事用語】導術の使用その他の精神活動に伴って放射されているある種の波動を仮に表現した用語。導術による通信、探知などの活動を行うと、これに伴うわずかな導術波の漏れが導術能力者によって観測され、傍受の対象となる。龍族の通信のほか、通常の人間の精神活動によっても放射されており、有効距離は短いものの、導術による探知の対象となる。
導術封止 (どうじゅつ-ふうし)【軍事用語】部隊内での導術による相互通信等の活動を、敵によって探知されることを防ぐため、隊内での導術使用を受動的な導術傍受をのぞき、禁止すること。奇襲等の隠密活動に必要な手続きとされ、通常戦闘開始と共に解除される。
導術兵 (どうじゅつ-へい)【兵種】導術科の兵を指す用語。→導術士、導術
道宣院 (どうせん-いん)【組織】〈皇国〉における宗教的な組織ないし施設。神聖不可侵な権威として、「誓紙」とよばれる宣誓用紙を発行している。ただし、その権威は近代的合理主義のなかで後退しつつあることは間違いない。
導波 (どうは)【文化】導術波に含まれる概念で、特に導術を用いた会話に使用される導術波を指すようだ。
東方辺境副帝家 (とうほう-へんきょう-ふくてい-け)【組織】〈帝国〉東方辺境領を治める副帝の一族。
東方辺境領 (とうほう-へんきょう-りょう)【地名】〈帝国〉東部、ツァルラント大陸の大部を占める〈帝国〉領。帝室の一員である東方辺境副帝領とされていたが、皇紀五六八六年一三月、帝室直轄領として再編された。
東方辺境領軍 (とうほう-へんきょう-りょう-ぐん)【組織】〈帝国〉東部、東方辺境領が独自に保持する軍隊。〈皇国〉北領に攻め込み、占領した東方辺境鎮定軍の主軸をなす。東方辺境領の直轄化に伴い、解体される。
東方辺境鎮定軍 (とうほう-へんきょう-ちんてい-ぐん)【組織】〈帝国〉が〈皇国〉を侵略、征服するために起こした軍勢。直接的には〈帝国〉東方辺境領軍からなり、総指揮官も東方辺境領の支配者である東方辺境姫ユーリアが兼務する。第一段作戦として〈皇国〉領北領に上陸し、北領鎮台を打ち破り(北領紛争、皇紀五六八年)北領の占領を行った。
東方への猛撃 (シュトルム・ナッハ・オステン)【事件】〈帝国〉の東方への領土拡大期を表す歴史用語。皇紀前八二年ごろから、皇紀元年ごろまで。この拡大期に、ツァルラント大陸東部はほぼ全域が〈帝国〉領に加えられた。
東方辺境領 (とうほう-へんきょう-りょう)【地名】〈帝国〉東部を指す地方名。東西はツァルラント大陸中央から東端に至り、南北は皇海沿岸から大陸中央部までの広い領域で、〈帝国〉の領土としては最も新しく〈帝国〉に加えられた。皇帝の直轄地とされており、副帝と呼ばれる(皇帝の血縁の)支配者が帝室から派遣される。
東方辺境領
胸甲騎兵
(とうほう-へんきょう-りょう-きょうこう-きへい, オストフッサール)【組織】〈帝国〉東方辺境領でも最精鋭を謳われるエリート騎兵隊。特に北領紛争に東方辺境鎮定軍の一部として派遣された第3東方辺境領胸甲騎兵聯隊は、アンドレイ・カミンスキィ大佐の指揮の下、軍の先鋒として〈皇国〉軍追撃戦に投入され、最も南方に進出した部隊の一つとなった。
統領 (とうりょう)→龍族統領
蜥蜴 (とかげ)【生物】〈帝国〉産の翼龍に対する蔑称。
特志幼年学校 (とくし-ようねん-がっこう)【組織】〈皇国〉陸軍特志幼年学校。〈皇国〉陸軍が持つ軍事教育機関のひとつで、若年士官志願者を対象とした士官養成学校。皇国の古都である故府に位置している。
都護衛戍療兵院 (とご-えいじゅ-りょうへい-いん)【組織】〈皇国〉陸軍の保持する病院。皇都の北西の郊外に置かれる。衛戍(えいじゅ)は永続する駐屯地、の意。
虎の顎門 (とら-の-あぎと)【軍事用語】剣虎兵が前進時にとる陣形のひとつで、本隊の前方にそれぞれ剣牙虎を連れた兵をくさび状に配置して、敵接近を警戒しつつ前進する戦闘捜索態勢(図)。
内王道       (ないおう-どう)【地名】〈皇国〉内地、龍州から皇域に至る街道の一つ。虎城山地中央部を抜けて、龍前から駒走を経て、皇都に至る。よく整備された、主要街道の一つ。ただし、虎城で険しい山地内を通過するため、軍隊の侵攻路としてはやや不適格。
内国惣納書令 (ないこく-そう-のうしょ-れい)【文化】〈皇国〉において、国内で出版される書籍を最低一冊、〈皇国〉遍学院文籍棟におさめることを定めた法令。皇紀五六〇年代の発令。
内地 (ないち)【地名】〈皇国〉を構成する八つの主要な島嶼のうち、中央に位置する島の名。もっとも面積が広く、経済、政治の中心地として皇都が置かれている。
苗川 (なえ-かわ)【地名】北領、路南半島南端近くで、南向川から分岐し、美名津湾北端に流れ込む支流。川幅二五間程度。
中木場街 (なかきば-まち)【地名】皇都北西の地名。港に近く、製材業者が多い。品の良いところではないとされている。
長瀬門 (ながせ-もん)【地名】(1)宮城につながる門の一つ(南門)。(2)皇都の地名。1付近。長瀬門前。
南向川 (なむかい?-がわ)【地名】北領、路南半島を南に流れ、美名津湾に流れ込む大河。真室川を支流として持つ。
南冥民族国家群 (なんめい-みんぞく-こっか-ぐん)【組織】冥州大陸に存在する国家。〈帝国〉と敵対しており、断続的な国境紛争が継続されている。南冥という名称は〈皇国〉語で、蔑称。
西本条 (にしほんじょう)【地名】皇都の街路名。
二重回し (にじゅうまわし, インバネス)【文化】肩から羽織る着物の一種。二重廻。書生風マントというと分かりやすいかもしれない。
布傘 (ぬのかさ?, para)【兵器】軽い目の詰まった布で作った傘状の装置。パラシュート。無動力降下(落下)時に減速のため用いる。
(ねこ)【軍事用語】軍隊における、剣牙虎を指す隠語。普通の家猫もこの世界には存在しているようだ。
熱水 (ねっすい)【技術】(1)水蒸気、特に、沸騰した水から生じる蒸気。(2)「熱水機関」の略。→熱水機関
熱水機関 (ねっすい-きかん, 単に熱水とも)【技術】黒石(石炭)などの燃料を燃焼させた熱で水を沸騰させ、その圧力を利用して機関を駆動させる機関。蒸気機関。〈皇国〉では、皇紀五四九年、須ヶ原三郎太により発明。産業革命による商工業の爆発的な発展を受けて、はじめ鉱山における鉱石運搬の動力源として普及した。現在では、工業における重要な動力源として、また一部自走艦の推進力としての活用が始まっている。
熱水巡 (ねっすいじゅん)【兵器】→熱水巡洋艦
熱水巡洋艦 (ねっすい-じゅんようかん, 熱水巡)【兵器】〈皇国〉において試験的に運用され始めた、熱水機関を搭載し、風力によらない航海を可能にした巡洋艦。実際の航海には、特に外洋では燃料の節約のため風力を利用する。外輪船である。
熱炉 (ねつろ)【文化】暖房用の装置の一つ。ストーブ?
ノルターバーン 【地名】〈帝国〉占領下になる北領の〈帝国〉側名称。占領当初は辺境姫(ユーリア)領とされていたが、龍州における戦闘によって新たに〈帝国〉領に龍州が加えられたこと、東方辺境領姫ユーリアが〈皇国〉側捕虜となり、その地位を剥奪されたことで「帝国鎮定領」の一部として扱われる。
背州        (はい-しゅう)【地名】→守背国
拝石教 (はいせき-きょう, バルカス)【文化】宗教の一。〈帝国〉の国教とされている大宗教で「石神」をあがめる一神教。
背天ノ技 (はいてん-の-わざ)【文化】〈帝国〉において、導術を指す隠語。天の理に背くおこない、という意味で、主として導術を指してこの言葉が使われたことから。→宗教純化運動
馬車鉄路 (ばしゃ-てつろ)【文化】馬に引かせて運行する鉄道。都市における公共交通機関として用いられている。馬鉄。
育預 (はぐくみ)【文化】大きな経済力をもつ武家が、他家の子弟を養育する制度。養子のような相続権は持たず、その社会的地位は高いものではない。
馬鉄 (ばてつ)【文化】→馬車鉄路
桜宴歌 (はな-うた)【文化】桜宴において歌われる歌。
桜宴 (はな-うたげ)【文化】〈皇国〉春季に国を挙げて行われる歴史の古い行事。満開の桜(御門桜)のもと、大規模な酒宴などの祭りが行われる。
馬場筋 (ばば-すじ)【地名】皇都の地名。宮城から南東に延びる街道。馬を扱う商人が多く位置している。
浜岡山 (はまおか-さん?)【地名】北領、路南半島中西部の山岳。
早蹴鞠 (はや-けまり)【文化】〈皇国〉において(上層階級で?)愛好されている競技の一つ。おそらく、サッカーのようなものであろう。
半刻 (はん-こく)【単位】〈皇国〉における時間の補助単位。二分の一刻。約三十分?→刻
磐ノ国 (ばん-の-くに)【組織】南冥民族国家群に皇紀前二〇〇年ごろ存在した帝国。磐帝国。
火壷 (ひつぼ)【技術】燃料(木炭?)を灰の上で燃やして暖をとる装置。火鉢。
標桿 (ひょう-かん)【兵器】目盛りの付いた棒。地面に垂直に立てて、高さを測定するために用いる。特に大砲の射距離を砲の仰角によって調整する場合、その仰角の測定・調整に用いられる。
驃騎兵 (ひょう-きへい, light cavalry)【兵種】騎兵の一。軽装の騎兵で、索敵などの捜索を主任務とする。長鎗、騎銃、鋭剣などを装備。
兵部省 (ひょうぶ-しょう)【組織】〈皇国〉執政府の官庁のひとつで、陸水軍の軍政を担当する。
ヒルデップ新帝乱 (ひるでっぷ-しんてい-らん)【事件】〈マクシノマス家ならび諸卿の合意による聯合帝国〉のマクシノマス家による支配を終わらせ、新たにヒルデップ一世を皇帝とする〈聯合帝国〉とした内乱。周辺国家勢力との衝突の激化により「西方への拡大」が終焉し、中央の支配力が弱まったことにより発生した。この乱のあと、〈帝国〉は最初の安定期を迎える。〜皇紀前一六四年。
伏撃 (ふくげき)【軍事用語】待ちぶせ奇襲攻撃。埋伏。移動する敵の針路前方で気づかれずに待ち受け、一斉に攻撃を行うこと。
伏龍河 (ふくりゅう-がわ)【地名】〈皇国〉内地北部を流れる大河。龍塞山脈に水源を持つ。
噴龍弾 (ふんりゅう-だん)【兵器】〈皇国〉水軍の新兵器として扱われている対艦ロケット弾。射程距離、破壊力(運動量)ともに低く、詰められた玉薬による焼夷効果を期待して使用される。
平射砲 (へいしゃ-ほう, Cannon)【兵器】〈皇国〉陸軍における大砲の分類のひとつ。長砲身で仰角が小さく、射程距離の短い野砲。前線における直接砲撃に使用される。高初速で砲弾を撃ちだすため、良い命中精度を持つ。射程距離は一里程度。
兵站 (へいたん)【軍事用語】軍隊の戦闘力を維持する活動すべてを含む戦略的な概念。〈皇国〉においては、その軍隊の置かれた状況、歴史的経緯から、外征をほとんど考えない内乱鎮圧を志向した軍隊でありながら軍事物資確保、輸送など兵站に関する概念が非常に発達しており、語彙も発達している。この「兵站」はそのうち最上級の概念。→輜重、補給
兵部省 (へいぶ-しょう)【文化】〈皇国〉において軍隊を統括し、管理運営する省庁。
方位針 (ほうい-しん)【技術】地磁気を利用して方位を知る装置。方位磁針。目立たないが、こういう装置があるということは、この惑星においても地磁気が存在するという証拠になる。
方陣 (ほうじん)【軍事用語】戦場で優位な敵に包囲された銃兵がとる戦術の一つで、おのおのが外向きに銃を構えた正方形の陣形。通常敵の主攻正面に対して頂点の一つを向け、二辺の兵が射撃できるように工夫される(図参照)。多数の銃兵が作る方陣は非常に強固なものであり、通常遠距離からの砲撃による以外有効な攻略方法は存在しない。
補給 (ほきゅう)【軍事用語】軍隊における物資補給行動のうち、狭い意味で、とくに中央から部隊に弾薬、食料、燃料などの物資を与える行為を指す。物資集積所に後方からの物資を運ぶ行為、前線の兵隊に弾薬を渡す行為など。→兵站、輜重
北府 (ほくふ)【地名】北領の首邑。北府中南部、天狼原野の南端の交通の結節点に存在する街。〈皇国〉陸軍北府鎮台が置かれ、北領防衛の要としての役割を果たしていた。天狼会戦による〈皇国〉軍敗北の余波を受け、〈帝国〉軍が占領。
北領 (ほくれい)【地名】〈皇国〉北端に位置する島で、気候は寒冷。皇紀三百年代から〈皇国〉人による入植が始まる。冬季は雪に閉ざされるため、生活は困難であり、人口は少ない。
北領海峡 (ほくれい-かいきょう)【地名】北領と内地の間に横たわる海峡。航海の難所として知られる。
北領街道 (ほくれい-かいどう)【地名】北領中部、天狼原野を通り、北府と、北領北部を結ぶ街道。
北領鎮台転進海岸 (ほくれい-ちんだい-てんしん-かいがん)【地名】→北美名津浜
北領紛争 (ほくれい-ふんそう)【事件】いち早く産業革命を成し遂げつつある〈皇国〉の経済的圧迫下で不景気に見舞われていた〈帝国〉が、〈皇国〉に対して起こした侵略戦争。〈皇国〉領の最北で〈帝国〉よりにある島、北領に東方辺境領姫ユーリアが編成、指揮を行う東方辺境鎮定軍が奇襲上陸をかけ、〈皇国〉の北領防衛軍である北領鎮台を天狼会戦で破った。のち〈皇国〉軍は北領から撤退、戦闘はいったん終結した。皇紀五六八年一月一四日(?)〜二月二四日。
北領松 (ほくれい-まつ)【生物】北領に自生する樹木。かなりの巨木に成長し、材木として利用される。
細巻 (ほそまき)【文化】おそらく煙草。火を付けて煙を味わう。この世界で普遍的に愛好されている。煙草の一種としての「細巻煙草」の略称なのか、煙草という言葉が無く、ただ「細巻」でこの種のタバコ全体を表すのかはわからず、前者の場合この用語集にこの言葉を載せる必要はなかったことになる。
細巻袋 (ほそまき-ぶくろ)【文化】細巻および喫煙用の道具を収めて携帯するための袋。
魔王        (まおう)【文化】悪魔、あるいはそれに類似した邪悪なものの王として仮定される存在。→天主
魔導院 (まどう-いん)【組織】→皇室魔導院
魔導官 (まどう-かん)→勅任特務魔導官
魔導師範校 (まどう-しはん-こう)【組織】諸将時代の皇室によって創られた、導術士養成学校。養成した導術士を諸将へ派遣することで皇室の資金源とするべく、当時の政務大輔真岡長麻呂によって中立都市であった故府に設立された。のちにその任務は皇室魔導院に引き継がれることになる。
真室 (まむろ)【地名】北領、路南半島、万石湾に面する真室川河口の港町。人口千人程度。
真室大橋 (まむろ-おおはし)【地名】北領、路南半島の真室川にかかる橋。
真室川 (まむろ-がわ)【地名】北領、路南半島で南向川から別れ、真室湾に流れ込む河。川幅は広く、軍事的に真室大橋を唯一の渡河点として路南半島を南北に分割している。
御門桜 (みかど-ざくら)【生物】〈皇国〉で見られる六枚の花弁を持つ桜。春先に一斉に開花する。〈皇国〉の国章としても用いられており、水軍旗もこの桜を象ったものである。
密理 (みつり)【文化】〈皇国〉において科学、あるいは物理学を表す言葉。
密理院 (みつり-いん)【組織】皇室運営の大学・研究所と思われる。
美名津 (みなつ)【地名】北領、路南半島に位置する港湾都市。市邑保護条項の対象。
揚帆索 (みなほ, halyard)【軍事用語】帆(旗、帆桁等も)を帆柱につなぎ止め、定位置に揚げる綱。
民部省 (みんぶしょう)【組織】〈帝国〉の行政機関のひとつ。経済活動を管轄としている。
冥州大陸 (めいしゅう-たいりく)【組織】ツァルラント大陸西部と地峡部によって接続する南半球の大陸。
滅魔亡導 (めつまぼうどう?)【事件】諸将時代末期、五将家による東海列洲制覇初期に起こった、導術士排斥運動。大きな情報収集能力を持つ導術士に対する諸将の不信を原因とし、〈皇国〉における導術士の虐殺が行われた。
木座筋 (もくざ-すじ)【地名】皇都の地名。宮城から港にむかって延びる通り。材木業者、材木をあつかう商家が多く位置している。
守背国 (もりせ-の-くに)【地名】皇域に隣接する国名のひとつ。守原家の支配下にある。山がちな土地で、優れた景勝で知られる。背州。
モールトカ(ク?) 【地名】〈帝国〉占領下にある北府の、〈帝国〉側名称。辺境姫領都。
薬師 (やくし, Doctor)【文化】医者。
槍騎兵 (やり-きへい, ランツァー)【兵種】〈帝国〉での騎兵の分類の一つ。
友軍相撃 (ゆうぐん-そうげき)【軍事用語】本来味方である軍勢同士が戦闘を行うこと。同士討ち、仲間割れ。
雪織原 (ゆきおり-ばら)【地名】北領北方に広がる平野部。
弓勢湾 (ゆみせ-わん)【地名】〈皇国〉本土中央部に皇海にむけて口をあける湾。この湾の南端に皇都がある。別名、皇湾(すめらぎわん)。
洋餅 (ようへい?)【文化】パン。〈帝国〉で主食となっているが、米食中心の〈皇国〉ではあまり一般的ではない。
翼龍 (よく-りゅう, Cruse Dragon)【生物】学名オオツバサリュウ。飛龍目翼龍科の飛行獣。〈大協約〉世界全般に多種が分布する。成獣の体長は二〇間以上。知能は犬並(以上一巻85ページの解説から引用)。〈皇国〉産のものは、天龍族から人間に貸与され、兵を2人程度載せての軍用飛行手段として使役される。特に龍巣巡洋艦等に搭載されて水上偵察、連絡等に用いられる。軽爆撃に使用することも可能。〈帝国〉領域にも生息し、これは〈皇国〉産のものと比較して体が小さく、知能が低い。幼獣期から飼育することで軍用とされ始めている。
読本屋 (よみほん-や)【文化】商売の一つ。字面から想像するに、貸本屋か、あるいは普通の本屋のことかもしれない。
羅針儀       (らしん-ぎ)【技術】航海用の測定装置の一つ。方位を測定する器械と思われる。
羅卒 (らそつ)【文化】警官。
ラティリア 【生物】ある種の野生の小鳥。帝都における留鳥。
(り)【単位】〈皇国〉における距離(長さ)の単位。一里は千間(〜1キロメートル)。日本ではこの間に町(=60間=1/36里)という単位が入るが、〈皇国〉では使用されていないようである。→間
陸軍軍監本部 (りくぐん-ぐんかん-ほんぶ, 軍監部)【組織】〈皇国〉における陸軍最高司令機関。名目上皇主に直属し、実戦指揮を行う。
陸兵隊 (りくへい-たい)【組織】〈皇国〉水軍の陸上戦闘部門。海兵隊。泊地警護や、上陸戦闘を主任務とすると思われる。あるいは接舷戦闘も任務に含まれているだろうか。
龍塞山脈 (りゅうさい-さんみゃく、龍塞山地)【地名】〈皇国〉内地北部の山脈。天龍の領域となっている。龍塞。
龍士 (りゅうし)【兵種】翼龍への騎乗を任務とする士官。
龍洲 (りゅう-しゅう)【地名】〈皇国〉内地北部の平地を指す地方名。龍前(りゅうぜん)、龍後(りゅうご)、龍下(たつしも)の三国からなる。龍の住む山岳地帯である龍上(たつかみ)を含める場合もある。冬季には豪雪地隊となる。鎮台が置かれ、〈皇国〉内地北部の防衛を担当している。
龍洲犬 (りゅうしゅう-けん)【生物】龍洲原産の犬。大型の犬種で、訓練して猟犬として利用される。
龍巡 (りゅうじゅん)【兵器】→龍巣巡洋艦
龍巣巡洋艦 (りゅうそう-じゅんようかん, 龍巡, Dragon Cruiser)【兵器】翼龍を海上で運用するための巡洋艦。広い上甲板を持つ。翼龍を数匹運用できる。
龍巣場 (りゅうそう-じょう)【軍事用語】翼龍を陸上で運用するための、翼龍の離着陸場。
龍巣母艦 (りゅうそう-ぼかん, 龍母, Dragon Carrier)【兵器】翼龍を海上で集中して運用するために考えられた新艦種。大型の翼龍運用母艦。
龍族統領 (りゅうぞく-とうりょう, Greater Dragon,統領)【役職】天龍族における最高権力者。互選によって選出され、龍族を統括する。
龍族利益代表 (りゅうぞく-りえき-だいひょう)【役職】天龍族が、〈皇国〉に送っている外交官。同じ地域に住む人類(〈皇国〉人)との間の調整を行うことを任務としている。〈皇国〉では、ほとんど皇主に次ぐ高い地位をもって遇されている。
龍の一斗樽 (りゅう-の-いっとだる)【文化】〈皇国〉の諺の一つ。礼を知るものは恩義を忘れない、の意味。
龍波 (りゅう-は)【軍事用語】翼龍等の龍族が発する導術波。→導術波
龍兵 (りゅうへい)【兵種】翼龍などに乗り込み、空中からの戦闘支援、弾着観測、軽輸送、偵察などを行う兵。〈皇国〉では水軍で一部用いられている。〈帝国〉においても同様の兵種は検討されており〈帝国〉軍内地進攻以降の作戦においては実戦で用いられるに至り、特に「六芒郭」を巡る戦闘においては、決定的な役割を果たした。
両性具有者 (りょうせい-ぐゆう-しゃ)【生物】〈皇国〉において一種族をなす、人類とは独立し、微妙に異なる種。両性を具有する肉体を持ち、多くは完全な美貌と優れた論理的思考力を兼ね備える。〈大協約〉ではこの両性具有者は人類としての完全な権利を有することになっているが、軍隊における准将以上の顕官の個人副官として配属されることから、軍隊内で特殊な扱いを受けていることが窺われる。多くは、有能な秘書・参謀としての役割のほか、将官の愛人をも兼ねる。
猟兵 (りょう-へい、イェーガー)【兵種】〈帝国〉におけるエリート銃兵の呼称。銃身を切り詰めた猟兵銃とよばれる銃を装備し、その機動力を生かした戦闘を行う。特徴的な緑色の軍服を着用する。
療兵 (りょう-へい)【兵種】医療を任務とする兵隊。衛生兵。
猟兵銃 (りょう-へい-じゅう)【兵器】→猟兵
麟帝国 (りん-ていこく)【組織】南冥民族国家群に皇紀前一〇〇年ごろ存在した帝国。
燐棒 (りん-ぼう?)【文化】携帯用の熾火装置。マッチ。
霊峰 (れい-ほう)【地名】〈皇国〉内地南部にある孤立峰。ふもとに陸軍の演習場が置かれている。〈皇国〉最高峰という確証はないが、そうである気がする。
煉石(煉は旧字) (れんせき)【技術】 皇国において建物に使用される建築材料の一つ。コンクリート、モルタルかタイルのようなものであろうか。比較的近年になってから利用が開始されたが、現在では主要な建材として皇都の建築物を飾っている。
六芒郭 (ろくぼうかく)【施設名】〈皇国〉内地龍前から、虎城山地を北に迂回し、不破、皇域にいたる皇龍道に、〈皇国〉軍によって建設された要塞。全体として六芒星(三角形を互い違いに重ねた形)をなし、中央に位置する正六角形の本塞から、六方に突角堡と呼ばれる正三角形(に近い五角形)状の堡塁が築かれ、相互に火力支援を行える構造になっている。その建設を巡っては、位置に関する激しい議論とその中途半端な解決、地元住民の反対運動などによる工事の遅れが重なり、〈帝国〉辺境鎮定軍侵攻時には、その一部(南突角堡)が工事未了状態であった。別名として「六天郭」という名も与えられている。
 この六芒郭の「落城」(〈皇国〉側の自爆砕による放棄)には、帝国軍の龍兵を用いた爆撃戦術の発明が大きな役割を果たし、〈大協約〉世界におけるこの種の永久要塞の効用を大きく減じるに至った。
ロッシナ家 (ろっしな-け)【組織】〈帝国〉の支配者である帝室を構成する家系。
路南街道 (ろなん-かいどう)【地名】北領東南部、路南半島を貫いて、半島先端部美名津などの街と、北府などの中央部の街を結ぶ街道。
路南半島 (ろなん-はんとう)【地名】北領東南端(本土方面)にのびた半島。

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