四季のある国、日本には、残念なことに梅雨という憂うつな季節もまたあります。じめじめした、うっとうしい天気が続くのは本当にうんざりしますが、日常生活で一番困るのが、雨の影響を受けやすい「洗濯」です。せっかく晴れ間を狙って干した洗濯物を、急転した天候にすっかり台なしにされたり、洗濯物を部屋の中に干さざるを得なくなってじっとりと湿った部屋で不快な思いをすることもしばしばです。何とか梅雨のお洗濯を快適に行いたい、そう思うのは自然な欲求でしょう。大西科学では、従来、携帯メーザー（赤外線レーザー）による衣服乾燥システム「ねっせんくん（※１）」でこうしたご要望にお応えしてきましたが、やはり洗濯物は太陽の光で干すのが一番であるとのご意見を多数いただいておりました。
そういったご意見にお応えするため、このたび大西科学で開発されましたのが、自律物干し竿「てんぐ号」です。てんぐ号は、小型水素気球です。洗濯物を、機体下部物干しスペースに吊るした「てんぐ号」は、日中の日照時間を十分利用するため、高度二〇キロメートル以上の下部成層圏まで上昇し、滞空します。この高度では、地上に雨を降らせるほとんどの雨雲は遥か眼下にあり、地上の天候、気象条件にかかわらず、常に十分な日照が洗濯物に供給されることになります。雲の上はいつも晴天なのです。
使用法はまったく簡単。使用前に、内蔵された電気分解装置が、お洗濯のすすぎ水を電気分解して、洗濯物の重量に応じた水素を発生、自動的に付属の「てんぐ号浮力パック」に蓄えます。お洗濯ものの扱いは従来の物干し竿と全く同じです。てんぐ号下部の物干し竿に、洗い終わった洗濯物を干してください。あとは、起動ボタンを押してもやい綱を解くだけで、てんぐ号は天空に舞い上がります。てんぐ号は内蔵AIにより、洗濯物の乾燥か、日没と同時に自動で発進位置まで降下して取り込みを待ちます（※２）から、天候の急変への心配や、面倒な操作はいっさい不要。お子様でも簡単にお使いいただけます。たとえ地上が大嵐であろうと、あなたの洗濯物はいつも太陽の匂いがすることでしょう。
てんぐ号は、太陽電池／蓄電によって駆動する自律飛行用プロペラと、小型レーダー、GPSをはじめとする航空用装備、実績ある航空用AI「オートパイロット2000」をインストールした内蔵コンピューターを装備しております。一戸建ての庭だけでなく、高層マンション、アパートなどのテラスや窓からも十分に発着可能（※３）。使いどころを選ばず、最高の性能を発揮できます。また、窓が北にしかない、大きなビルの影になるなどの日照に不自由する環境でも、得がたい洗濯パートナーとして使っていただけるものと自負しております。
てんぐ号は、平均的な四人家族向けのを想定して設計されておりますが、一人暮らしにちょうどいいサイズの「こてんぐ号」、また、大家族や、布団のような大型、重量物の乾燥用の「くらまてんぐ号」を別途ご用意いたしました。用途に合わせてご利用下さい。
梅雨の季節の洗濯物の効率良い乾燥に、大西科学の「てんぐ号」を是非ご検討下さいますようよろしくお願いいたします。
| 仕様 | |
| 名称 | 自律航空物干し竿てんぐ号（FD-13てんぐ号） |
| 類別 | 無人航空機 |
| 形式 | 自律帰還式軽航空機（駆動機関あり） |
| 主機出力 | ２馬力（最大充電時） |
| 気嚢容量 | 160立方メートル |
| 最大離床重量 | 150kg重 |
| 内蔵センサー | ジャイロコンパス（傾斜度計兼）、高度計、対気速度計、位置測定システム（GPS）、晴雨計、レーダー |
| 付属品 | 電気分解・水素発生装置付きメンテナンスステーション、緊急帰還コマンド用リモコン、もの干しざお二本、洗濯ばさみ（三ダース） |
| 電源 | 太陽電池／内蔵バッテリー／外部電源・AC 100V 50/60Hz |
| 本体重量 | 68.8キログラム／105.2キログラム（電解装置込み） |
| 本体サイズ | 5メートル×5メートル×7メートル（気嚢最大展開時） 1.5メートル×0.7メートル×1.2メートル（収納時） |
| 価格 | オープンプライス |
| オプション | 価格 | |
| 交換用浮力パック 「ふうせん君」 | 交換用水素気嚢 | 127,000円 |
| 交換用物干し竿 「一〇年前のお値段です一号」 | 純正物干し竿、脱落防止システム対応（二本組） | 1,000円 |
| 交換用洗濯ばさみ 「百円均一号」 | 純正洗濯ばさみ、脱落防止システム対応（一ダース） | 100円 |
| 増加装備バッテリーパック 「飛行時間のび太」 | 追加用バッテリー | 19,800円 |
※１ 昭和五十一年発売。現在、生産中止となっております。
※２ 台風時、その他機位を保つことが難しい天候の場合など、地上の天候によっては、帰還を見合わせ、滞空したまま待機することがあります。
※３ 最低限「てんぐ号」物干し竿部の全長に相当する長さ（1.5メートル）の窓やテラスが、展開前の準備に必要です。
使用上のご注意
※てんぐ号をはじめとする自律航空機の使用前には、航空自賠責保険への加入が義務づけられております。
※てんぐ号への離陸前充電は、常に十分に行うようにして下さい。電圧の低下は帰還失敗の原因となります。
※てんぐ号は、水素気球を採用しております。使用時は火気には十分ご注意下さい。くわえ煙草による物干し作業は、爆発事故の原因となります。
※てんぐ号は、バッテリー切れなどで帰還に失敗した場合、太陽電池による内蔵バッテリーの再充電を試みますが、浮力の低下などでやむを得ず最終的な帰還に失敗する場合があります。ご容赦下さい。
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