第一巻●桃太郎戦記――鬼ケ島上陸作戦――
四カ国連合軍はついに乾坤一擲、敵要塞の置かれた島嶼部への上陸侵攻作戦「ピーチシード」を敢行した。集中投入した空母航空戦力による一時的な制空権下で損害を出しつつも上陸を行った歩兵部隊は、敵の散発的な抵抗を排除しつつ橋頭保を築き、続いての戦車隊の上陸を成し遂げる。果たして上陸軍は依然圧倒的な陸上戦力を誇る敵要塞を陥落させうるか。大西科学出版部の「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズが第一弾「桃太郎戦記」をもって、堂々の刊行開始。
第二巻●死闘のカチカチ高地
「本日、天気晴朗なれど波高し」
カチカチ高地における陸上決戦で、圧倒的な火力、
第三巻●猿蟹ゲリラ戦
詐欺的な取引きにより全てを略奪され、今また恋人の命をも奪った政治家猿田に対して「個人的報復」を与えるべく、元軍人の蟹山はひそかに腹心の部下からなる特殊部隊を編成する。警察、私兵により幾重にも守られた猿田に痛撃を与えるべく、周到に練られた襲撃作戦とともに、選び抜かれた真の男達がいま立ち上がる。大好評「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第三巻は長編軍事アクション「猿蟹ゲリラ戦」。不正規戦闘の果てに、人は何を得そして失うのか。
第四巻●エアボーンかぐや姫
敵の重攻囲下にある一個旅団を救出すべく、ついに投入された「月光」空挺師団。包囲された都市で絶望的な抗戦を続ける旅団を解放するために「月光」師団は神経ガスの使用を決意する。そんな中「月光」師団司令官は、作戦の真の目的が部隊の救援ではなく、都市に取り残された首相の娘の救出にあることを知る。風雲急を告げる戦闘の行方や如何。そしてこの軍事的な意味なき作戦の行方は。大科出版の看板シリーズ「軍事的に正しいおとぎ話」第四巻「エアボーンかぐや姫」。あらかじめ失われた戦場都市に、血で染め上げられた落下傘の花が開く。
第五巻●一寸の魂
「鬼」の名を持つ強力な重戦車を押し立てて進撃する強力な敵軍に押され、歩兵中心となった防御線は崩壊の一歩手前に陥る。祖国を防衛するため、国境線で守りを固めた歩兵部隊に寸鉄人を刺す対戦車兵器「ニードル」がようやく支給されはじめる。しかしそれは威力に比してあまりにも射程が短く、扱いづらい兵器であった。敵の懐にいかにして潜り込み、一撃を与えるか。軍の基本たる歩兵たちの真価が今問われる。戦場の男達の壮大なロマン「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第五巻「一寸の魂」。打ち出の小槌が、わが軍にも欲しい。
第六巻●兎と亀・陸軍戦車開発史
速力を重視し、軽快さを身上とする軽戦車か、重防御強火力を指向した重戦車か。二つの設計思想の間で、帝国の陸軍機械化構想は揺れ動く。軍事的ドクトリンの争いはやがて政争の様相をも帯びはじめ、帝国の終わらない政治の夏が続く。そんな空気の中、限られた時間と資材で、優れた兵器を作るべく苦闘を続ける技術者たちの見た「帝国における理想の戦車」とは。各巻続々増刷の「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第六巻は技術に生きる男達を描く開発史「兎と亀・陸軍戦車開発史」。BGMは、中島みゆきなのか。
第七巻●浦島潜水艦
孤独な海中でひたすら獲物を待ち受ける潜水艦の戦いを描く「軍事的に正しいおとぎ話」最新刊。「ドン亀」と呼ばれる、低速な艦をあやつり、いかに海の男達は戦い、そして散っていったか。シリーズ第七弾「浦島潜水艦」。海中に乙姫は、もういない。
第八巻●海彦山彦
帝国における限られた資源を時には奪いあった「二つの軍隊」、陸軍と海軍。大陸への侵攻か太平洋の覇権か。その両者の対立はいかなる齟齬となり、国家戦略にいかなる影響を及ぼし、そしてどんな結果を帝国にもたらしたか。すでに読者を置き去りに遥か虚構の極北へと突き進む「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第八巻「海彦山彦」。やっぱり仲良くしないとよくないよ。
第九巻●ロボット・オブ・パワー
201X年、第三世界のある戦場にて、人間の遺伝子を用い、バイオテクノロジーを駆使して生産されたロボット兵が投入された。人間の数倍の膂力を誇り、工場で大量生産される恐るべき戦闘人造人間「力太郎五型」は、やがて密やかに人類の存在そのもに対する脅威となってゆく。「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第九巻、戦闘近未来軍事冒険小説「ロボット・オブ・パワー」。相棒は「御堂太郎」とあと一人誰だっけ。
第十巻●花神 冷戦の果て
あい争う二つの陣営の軍拡競争は何をもたらし、そして冷戦はいかなる結末を導いたか。両陣営の明暗を分けたのは両者のいかなる違いか。やっぱり犬を自発的に働かせるか無理やり働かせるかの違いだったりするのだろうか。なんだかもうかなり辛くなってきた大科「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第十弾「花神 冷戦の果て」。つまりその、花咲爺のことです。
第十一巻●文福茶釜
今よく考えてみたら、金太郎もそうだけど「ぶんぶく茶釜」ってまったく筋がわかりません。確か狸が茶釜に化けるんですが、それがいったいどうなんだっけ。だいたいこれがどうして軍事と関係するんだろう。ま、世の中にはそういうこともある「軍事的に正しいおとぎ話」シリーズ第十一弾「文福茶釜」。この文章にも、オチはない。