喜びの声

杉野まことさん(20)
 長年皮膚病に悩まされており、マジック液シートやクリスタルにピラミッドパワー、果ては気功やホメオパシーに加持祈祷、陰陽道から西洋占星術、ブードゥの秘術まで、さまざまな治療を試しましたがどれも効果なく、すっかりあきらめかけていました。そんな折、信頼できる伯父のすすめで「科学」に出会い、半信半疑ながら患部を清潔にすることや簡単な塗り薬による治療を施したところ、自分でも信じられませんでしたが、ほんの一週間ほどで快癒してしまったのです。あんなに悩んだ患部が今では跡形もなく、科学には毎日感謝しています。

松坂慶介さん(23)
 私は小さな頃から臆病で、特に幽霊や心霊現象が怖くてどうしようもありませんでした。特に、テレビの心霊写真特集やUFO特別番組を見た夜は、一人でトイレにもいけず、小学校の修学旅行の夜、友人たちが百物語を始めたときなどは、固く目をつぶって布団の中で一人震えていたため「ぶるドッグ」などというひどいあだ名までつけられてしまったほどです。このままでは彼女もできない、と将来を悲観したとき、この「科学」に出会いました。
 再現できる現象のみを扱い、その共通原因を解き明かす科学の手法によれば、確たる証拠がない逸話にはなんの証拠能力もありません。そして、話をただ話として怖がるのではなく、自分の頭でもって証拠を検討してゆけば、幽霊やUFOは論ずるにも値しないほどの証拠しかないということに気がついたのです。それは巧妙に心理の死角をついた話ではありますが、それだけのことであり、使い古された手段でさえあります。私はまさに空が落ちてくるのではないかと怖がる無知な人間だったのです。そう考えると、ちゃちな怪談に怖がる必要などなにもないのだとつくづく感じました。
「科学」を知ることができたことは、ラッキーでした。今では彼女もでき、理系の大学で毎日ばら色の大学院生活を送っています(ちょっと忙しすぎるのが難点ですが)。

菅野阿佐美さん(24)
 大恋愛の末結ばれた今の夫が、結婚してみるととんでもないギャンブル好きであることがわかりました。競馬の倍率を眺めていると、自分が万馬券を取れるという根拠のない自信がわいてきて、生活費まで馬券につぎ込むありさま。私がどんなに頼んでも聞いてはくれません。いつもは優しい夫なのに、レースのある週末は本当に憂鬱でした。
 そんな中、郵便局のキャッシュコーナーで偶然出会った大学の先生にすすめられて「科学」を始めてみると、びっくり。競馬の倍率には最初からそりゃないよベイビー、というくらいの控除率(レース主催者側の取り分)が設定されており、どんな賭け方でも長い目で見ると絶対に損をするようにできていたのです。私は半分あきらめつつも夫に、確率把握の甘さ、控除率などに対する基本的な知識の不足を説き、賭けるにしてもせめて「科学」を使って、と懇願しました。
 するとどうでしょう。倍率と回収率をまじめに計算した夫が、自分の非をみとめ、もう競馬はやめる、と言ってくれたではありませんか。あまりの控除率の高さにあきれ果て、生活の支えとしての競馬は絶対に割りに合わないものであることを分かってくれたようです。
 今でも夫と私は、週末になると競馬場に行きますが、あくまでそれは馬達を眺めて楽しむため。生活費まで削って賭けにつぎ込むということはもうしません。科学に出会えて本当によかった。科学のパワーは本当に素晴らしいと思っています。

深谷新平さん(65)
 長年連れ添った妻を心から愛しているのですが、彼女は家庭にある、電化製品の待機電力を根絶しなければならない、という妙な使命に燃えているらしく、テレビでもビデオでもパソコンでも、油断しているとすぐ電源プラグを抜かれてしまいます。わざわざコンセントのところまで歩いてゆかねばテレビひとつ使えません。
 そのこと自体は致命的な不便さではありませんからかまいませんし、地球環境にとって確かに大切なことだと思っていたのですが、今回「科学」を知って正しいものの見方を教わったような気がします。
 たとえば私の家にあるテレビの待機電力は説明書によれば1ワットで、これを一晩つけっぱなしにしておいたとしても浪費される電力は12ワット時(43キロジュール)です。これは、消費電力60ワットである使用中のテレビに直すと、わずか12分間の消費量です。コタツなら2分、電気ストーブなら30秒で消費するエネルギーでしかありません。私が55メートルの高さの梯子を登るくらい、自動車なら時速33キロで走っていてブレーキをかけて停止したとき、熱として放出されてしまう程度のエネルギーなのです。もちろん、不必要な電力は使わないほうがいいに決まっていますが、風呂桶いっぱい分のお湯を沸かすエネルギーのわずか200分の1、風呂の温度を0.1度ほど上昇させることができるエネルギーを汲々として節約するというのは、あまり効率的なことではないとは言えます。一晩風呂を抜けば一年分の待機電力が節約できるという事情を説明しても、妻にはいまひとつぴんと来ない感じでしたが、ともかく出かけた先から待機電力を切りに戻ってくるような馬鹿なことはもうしないですみそうです。今度はこの「科学」をぜひ妻にすすめたいと思います。

都筑涼子さん(38)
 以前から通信販売の広告に弱く、調子のいい体験談にころりとだまされて、運勢を開くブレスレットや神秘のパワーが秘められているという石、お金がたまる財布などを購入してはだまされていたことに気づく、ということを繰り返し、私はほとほとダメな人間だ、と思っていました。
 そんな中「こんどこそは!」と思って始めた「科学」には驚きました。たとえ業者側が私たちを騙すつもりはなかったとしても、購入者が十分たくさんいれば、中には運のいい人がいるのだということを知ったのです。宝くじだって誰かには当たるのですから、百人いれば一人くらい、何かラッキーなことが起こった人がいるに決まっていて、そもそもそういう人でないとわざわざ製造元に「喜びの声」なんかを寄せるはずがありません。
 この真実を知った私にとって、もはや詐欺師たちの話術も恐れるに足りないものとなりました。今は批判的な精神を持って広告を眺められるようになり、占いやオカルトに無駄なお金を使うことがなくなりました。科学って本当にすごい。あなたも私のような体験談に騙されることなく、自分の意志で道を選んで欲しいと思います。


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