登場人物の紹介

 理科:三歳の女子。近所の幼稚園に通っている。レゴブロックや、はさみとのりによる工作が最近お気に入りの遊び。また、しょっちゅう自分勝手な歌を作って歌っている。最新作は「みかんの歌」(「みかーん、みかーん、ゆめーを、みてーる」という歌詞)。食べ物では甘いものと果物全般が好き。焼そばなど、醤油やソースで茶色くなったもの全般が苦手。

 科学:今月二歳になる男子。一日一回のお昼寝が、そろそろ不必要になりつつある。新幹線など鉄道全般、機関車トーマス、航空機に興味を示している。シルバニアファミリー(というウサギの小さな人形)で遊ぶのも好きだ。味噌汁など塩辛いものが好物で放っておくといくらでも飲む。果物は好きではない。

 ピーちゃん:茶色いうさぎのぬいぐるみ。身長約30センチ。買い物篭を手にしている。プレゼントとして理科の家に来た。「フロプシー」という名前らしいが、そういうこととは関係なくピーちゃんと呼ばれている。性格は大人びていて我慢強い。買い物篭によくいろんなものを勝手に入れられ、また、紙おむつをはかされたりお尻拭きでお尻を拭かれたり、さらに最近は病院ごっこの患者さんとしていろいろされているが、人生とはそういうものだと達観している。

 ポンちゃん:小さな熊のぬいぐるみ。座った状態で体長15センチくらい。理科の父母が結婚する前から家にいた。ポンちゃんの性格は「けなげ」で「忠実」である。小さい体を精一杯動かして、理科の投げたお手玉をどこまでも取りに行く。何度投げられても取りに行く。投げられたお手玉をすべて集め、お手玉を床の上にきちんと並べることだけが生きがいなのである。集めても神龍が出てくるわけでもないのに。

 くまきち:白いタオル地の熊のぬいぐるみ。風呂で体を洗うスポンジであるらしい。たぶん、誰かのプレゼントとして理科のうちにやってきた。理科の家の書生で、家の下働きをしつつ、ひそかに娘に懸想している。家の女主人にしょっちゅう「分をわきまえなさい」と叱られているが、生来の鈍さでどうとも思っていない。しかも、タオル地であることをいいことに、ときどき娘のよだれを拭く役目をしていた。洗濯機だけは苦手。

 ぱくちゃん:大きな口が動くパンダのハンドパペット。獰猛な性格である上にいつもハラペコで、すぐ理科や科学を食べようとする。油断をしていると、絵本に描かれたトンネルや布団の中等から現れて飛びかかってくる。ただ、この前、腹を裂かれて石を詰められそうになったので、安全のため、これからはもう少し自重しようと思っている。好きな食べ物は鼻と耳。

 カモン:理科と科学の家の風呂に住んでいる黄色いプラスチックのアヒル…の生産ラインで作られたカモ。それらしい模様が追加印刷されただけのよくある風呂アヒルそのものなので、カモとは認めがたいところがある。押すときゅうきゅう鳴く設計になっているはずだが、一度もちゃんと鳴いたことがない。風呂の底から一気に水面に浮上する「メインタンクブロー」が必殺技で、何度も理科や科学を驚かした。最近、自らの内面になにか得体の知れないものが成長するという不安にさいなまれている。

 ワーベアー:バンザイをした格好の白い熊のマスコット。くまきち、ポンちゃんその他と「くまーず」を結成している。天井の電灯から鎖でぶら下がっていて、いつもみんなを見守っている、と本人は言っているが、実は高いところが好きなだけである。夜な夜な変身して地上に降り、小動物を襲うクセがある。口の周りがときどき赤くなっているのはそのせい。

 ノッケー:「どこでもいっしょ」のトロという白い猫をかたどったぬいぐるみ。そういうこととは関係なく、ノッケーと呼ばれている。性格は悲観的で、いつも「この国はやっぱりもうだめだよ」とか「この文明はもうすぐ環境に復讐されて滅ぶのさ」などと後ろ向きなことを言う。長年の間にひどく薄汚れてきており、この白い体は汚れが目立ってノッケーだ、と思っている。

 早瀬さん:体長一五メートルにも達する、歳経た竜にして魔王。遥か鉢伏山の山奥の洞窟に居を構え、配下の邪竜を操って人間界を混乱させつつ、ついには人間世界の秩序を破壊し、それに乗じて竜による世界征服を実現せんと企んでいる。その爪は老いてなおいかなる剣よりも鋭く、その熱い息は岩をも溶かし、人間の作るあらゆる武器、あらゆる鎧を一塊のガラクタに変えてしまう。唯一の弱点は酒に弱いことで、歳のせいかなあ、昔はこうではなかったがなあと思っている。

 岩城直人:大月夜高校に通う高校生。茫洋とした性格の理系男子。世界は理系に支配されるべきだと思っている。大学の理学部で研究を続け、いつか自然科学系の研究者になれたらいいと漠然と思っているが、どうやったらそうなれるのか、あまり真剣には考えていない。中学のときは付き合っている子がいたが、今のところ、あまり女子には興味がないらしい。周囲に頭がいいと思われているが、粘りがないので成績は学年十位前後。化学部所属。二年生の夏に生徒会役員に立候補し、次の年の夏前まで生徒会副会長を務めた。

 機関士トーマス:かつて蒸気機関車に乗務した経験を持つ老機関士。北海道の炭鉱町を結ぶ国鉄の路線に機関士として勤務していたが、蒸気機関車の退役と共に、寂れる一方のこの路線の終点駅の駅長として、鉄道員としての晩年を送ることになった。先立たれた妻との間にゆきという娘がいたが、これも幼くしてなくしている。路線の廃止が迫るある冬の朝、ホームで一人冷たくなっているところを発見される。

 ミカエル『皆殺し撲殺剣』オックスバッシュ:レベル38の君主。性格は「悪・混沌」。頬に特徴的な傷跡がある。戦闘においてあえてなまくらな剣を使用し、弱い相手をなぶり殺す趣味を持っていることから「撲殺剣」のあだ名で呼ばれるようになった。僧侶系の呪文を全種習得しているが、治癒の呪文は自分以外のためにはほとんど使用しない。好きな食べ物は暴君ハバネロというスナック菓子(とても辛い)。

 八嶋:「ポリス」と呼ばれる巨大なコンピュータの中に発生した人格。意志をもつ一種のコンピュータプログラムである。特に八嶋は、多様性の維持のため、ある程度の乱数を用いてシステム(「子宮」と呼ばれる)が種子から発生した、通常の人間を元にしない「孤児」と呼ばれる存在。ポリス内で他の存在の助けを借りつつ一個の人格として成長し、さまざまな危機を仲間達とともに乗り越えつつ、やがてこの宇宙の謎を解き明かす旅に出る。

 ティベリウス・センプローニウス・グラックス:共和制ローマの政治家。弟で同じく農地改革を進めたガイウスとともに、ザマの戦いでハンニバルを破ったスキピオ・アフリカヌスの孫に当たる。護民官として農地改革を実施、国有地の借地権に制限を設けることで、自作農の拡大と貧富の格差の解消を目指した。のちに元老院の反対派により殺害される。

 こてっちゃん:トレーラーの前半分、すなわち後ろのコンテナを牽引するエンジンや運転席がある部分。これが「こてっちゃん」と呼ばれる理由はよくわからないが、この部分を指して言う正式名称を知らないので、街でこれを見かけるとつい心の中で「あ、こてっちゃんだ」とつぶやいてしまう。あなたも今日からこてっちゃんと呼んでみて下さい。

 ジャッキー大西:二児の父。がんばって子育てをしている。最近、実は自分の天職は保育士だったのではないかと思うようになった。


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