抹茶マッチング

 ひと頃に比べるとそうでもないが、抹茶味は人気である。コンビニやスーパーのチョコレートの棚を見回してみると「抹茶味」の緑色のパッケージが多いことに驚く。なぜみんながこうも抹茶なのか、他のアイデアはないのか、そんなに抹茶が人気なのかと思うが、チョコレート類のお菓子を作っているメーカーとして、伝統ある商品に新機軸をもたらしたい、ちょっと目先を変えて消費者をあっと言わせてたくさん売りたい、と考えた場合、抹茶味はちょうどよいフレーバーなのだろう。だいたいどんな味になりそうか誰もが知っていて、安心の味なのかもしれない。

 自分でも何か抹茶で考えよう、抹茶を何に混ぜたら面白いか、といろいろ考えた場合、スポーツというのはどうだろうか。サッカーで抹茶を蹴る。ラグビーで抹茶タックルで敵を倒す。水泳でプールを抹茶色にする。いやそれは普通のことだ秋口には全国の学校の水泳プールがそうだ。

 しかしもっともぴったりくるのは「野球」ではないかと思う。いやあの野球、ベースボールの野球である。考えてみよう。

ピッチャー
キャッチャー
マッチャー

 ぴったりではないか。違和感がないではないか。まるで野球というスポーツが考えられたその頃から、マッチャーはそこにいたかのようではないか。

 またこの人は何をバカなことを言い出したのかと思われている気がするが、今回はそういう回なので許して欲しいのだが、違和感がないと言ってもじゃあどうすればいいのか、抹茶を野球に混ぜると言われてもどうやったらいいのかという人もいるかもしれない。私にもよくわからないが、

ピッチャー
キャッチャー
マッチャー

 とまた書いてしまったが、こういう順番なので、マッチャーはやっぱりキャッチャーの後ろ、審判の後ろくらいにいていただくのがいいのではないか。

 野球を始める。いや、もはや野球ではない。野球の抹茶味である。抹茶味の野球にはいつもの愉快なメンバーのほかに抹茶がいる。抹茶が一人、審判の後ろにマッチャーボックスを設定して、そこにいるのである。そこで普段はボーッとしている。お茶をひいているのであるが、その位置だとどうもそうなる。ピッチャーが投げる。キャッチャーが受ける。マッチャーがお茶をひく。

 なんだそれは、と思ってはいけない。茶々を入れてはいけない。抹茶の役割は、審判がコールしたあと、その後にあるのである。バッターが打つ。レフトの前に転々と転がるヒット。二塁ランナーがスタートよく三塁を回って一気にホームに帰ってくる。レフトはチームいちの強肩を生かしバックホーム。矢のような送球がキャッチャーに返り、ランナーを追い越して掲げたキャッチャーミットに収まる。キャッチャー、タッチ。ランナー、ヘッドスライディング。タイミングはアウトだが、と見守る大観衆の中、審判はさっと両手を水平に広げて、コールは「セーフ!」騒然とするスタンド、立ち上がる両軍のベンチ。そのとき、これまでずっと黙っていた抹茶がついに立ち上がり、手を上げてアピールする。そして、こう言うのだ。

「ちょっとマッチャー!」

 驚くべきことに、今回はこれで終わりである。へそで茶が沸くとはこのことだね。


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