バグメイト三八号

 バグノイドを補佐する量産型の人造人間、バグメイトの量産第三八号体。初期に生産された五〇体のバグメイトのうちの一体である。

 高速培養によって「生産」される兵士であるバグメイトには、本来自由意志も高い知能もなく、バグノイドの命令がなければ自律的な行動を起こすことはできない。しかし、初期ロットにありがちな生産管理システムの完成度の低さから、突発的に自意識をもったままのバグメイトが生み出されることがあり、三八号はそうした中でもほとんど例外的な高い知能を持つバグメイトとなった。

 生み出されてからの短い間になされた速成教育の他に、周囲から貪欲に、しかし隠密にさまざまな知識を吸収した彼は、自己の存在に疑問を抱き、獣人帝國バグーの一兵士としての行動を続けながらも、この状況から脱する方法を模索するようになる。しかし、同時に自己が、獣人帝國バグーによる不断の調整を続けなければ生存さえ難しい人造生命であることを知っており、目立った行動を起こすことは自殺行為であることもまた、認識しているのである。

 第九話での作戦中に警報装置を作動させるという思い切った行動を起こしているが、その後は一兵士として多数に埋没し、なんらかの機会を窺っているようである。


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