バグノイド

 獣人帝國バグーの幹部戦闘員。人間の体を基本母体として、増設された遺伝子対上に動物などを母体とした戦闘形態の遺伝子情報を移植されたもので、通常さらに機械的、電子的、生物化学的な増強を行ってある。普段は目立たない人間の肉体を借りて、戦闘時には随意的な遺伝子の活性化、細胞の高速増殖、組織化(これらをまとめて「バグチェンジ」と呼んでいる)をわずかな時間で完了することができる。強力な戦闘力と、高い知能を合わせ持つおそるべき生物兵器であるが、非常に微妙で煩雑な調整(遺伝子コードそのものから、手術によって植え込まれた回路系とのマッチングまで)が必要で、量産には適していない。それどころか、その性格上一体一体が実験体扱いを受けており、すべてがハンドメイドの特注品なのである。

 この高度な技術を要するバグノイドが、この二十世紀末にとにもかくにも実用化されている理由には、獣人帝國バグーの持つ高度な遺伝子関連技術のほかに、異星科学によるナノマシンのサポートがある。スピードマンの体内のものほど高機能ではないが、細胞増殖のコントロール、電子回路、機械系のコントロールおよびテレメトリーシステムまでの幅広い機能を果たしているのである。

 バグノイドには、部下をコントロールし、あるいは反乱ができる知能が与えられているかわりに、ほぼすべての個体に自爆装置が内蔵されており、敵による捕獲や個体機能の広範囲にわたる損傷などの事態に陥った場合、自動的に爆発を起こすようになっている。彼らは、誕生したときから悲しい運命を定められた、哀れなものたちなのである。


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