スクィーズドスペース・ジャンプ

 スクィーズドスペース・ジャンプ(SSジャンプ)は、スピードマンの持つ能力の一つで、強力な防衛機能だ。スピードマンの体内のナノマシンによる超ひも場を利用した、異星科学の究極の到達点の一つで、スピードマンの肉体を瞬間移動させることができる。

 異星人が、この地球と彼らの母星を、とにもかくにも往復できるのも、スクィーズドスペース・ジャンプのお陰である。超ひも場によって空間的に離れた二点間を「ひも」で接続し、そしてあとは「ひも」が自ら短縮するにまかせる。無数の(スピードマンの肉体に含まれる素粒子と同じだけの数の)「ひも」によって「絞られた」空間の中を移動して、スピードマンは瞬間移動することになる。外見上、一瞬で離れた地点に移動したように見えるSSジャンプだが、実は「ひも」を延長する超ひも場の到達時間だけの時間はかかっている。これはおよそ光速度に近い(が、わずかに越えない)。その意味で、SSジャンプは「超光速流スピードマン」のタイトルに反して、超光速移動手段ではないのである。

 スピードマンの持つ、SSジャンプの有効距離は、わずか7メートルである。これは、SSSブレード同様、スピードマンの肉体が、ナノマシンの要求するエネルギーに応えられないというのが主な原因であり、SSジャンプそのものの持つ物理的な限界ではない。たとえば異星人ポレポレのスカウトシップについているSSジャンプ装置の有効距離は七キロメートルであり、マザーシップの場合、七万キロメートルに達する。これも恒星同士の距離に比べるとわずかなものであるが、ポレポレら異星人は、数十億回ものSSジャンプを繰り返しながら、数年かけて星間宇宙をわたってくるのだ。

 スピードマンの肉体に起因する制限としては、他に、連続したSSジャンプができない(七分以上のインターバルを置く必要がある)というものがあるため、SSジャンプはいざというときまで使用を制限されている。スピードマンの意志に関係なく危機が迫ったときに発動するように、体内のナノマシンはプログラムされているのだ。


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