トナカイバグ

 第一一話に登場したクリスマス仕様のバグノイドバグチェンジ前は白髪の丸々太った白人の老人であると資料にあるが、つまりサンタであるということだろうか。

 トナカイバグは、クリスマスに備えて作り出された神経戦(情報戦)用バグノイドである。焦げ茶色の短い体毛に覆われた体は、現実のトナカイを模したものというよりは、むしろぬいぐるみとしてのトナカイに似せて作られており、顔や体形などにも大胆なデフォルメが施されている。一般的に好ましく思われる体型を研究し、子供に好かれることで、スピードマンに攻撃されにくいという高度な作戦を実行するために、作られたバグノイドなのである。もちろん、この基礎研究は本格的な地上進攻に先だってのデータ収集と言う側面をもっていたにちがいない。
 その反面、戦闘力そのものは、バグノイドとしては最低レベルに近い。それでも、人間に比べれば基礎体力において大きな優位があり、総計五〇〇キログラム近いおもちゃを背中の袋に入れ、軽々と担いでいた。スピードマンに、絶対の自信をもっていた神経戦において虚をつかれたとはいえ敗北したという点で、成功作とは言いがたいが、バグノイド開発史上の重要な節目となるバグノイドであると言える。

 必殺技はダッシュ力を生かしたその角による攻撃「レインディア・ストーム」であるが、発揮の機会はなかった。


目次に戻る> <ゲイツバグ